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JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo3

更新日:2015年2月2日

(NO3:2010年5月)

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

カブールは4月の中ごろから一気に緑が増し、街にも生気が戻ってきたような気がします。ここカブールの花といえばバラです。春に咲きはじめ秋の終わりまで咲き続けるそうです。真紅、ピンク、黄色、数え切れない種類のバラが咲き誇る風景は、暗く冷たかった冬からは想像もつかない美しさです。
今日、お昼休みにバラを見に庭に出たら懐かしいものを見つけました。桑の実です。佐久の家の近くの堤防に古い桑の木があって今でも沢山の実をつけますが、カブールの桑の木はしだれ桑で、たいそう立派な巨木です。日本の桑の木とは種類が違うのでしょうが、葉っぱの形や実はそっくり。実が熟したらジャムでも作ろうかな。料理は外出できない休日のささやかな楽しみです。

さて、最近の復興支援関係者が集まる会合では、軍事作戦を展開している国による早急な成果の発現「撤退開始までの18ヶ月」がキーワードになってきています。アメリカとISAF(国際軍)は、軍事戦略的に重要な地域を中心に新たな取り組みを開始しました。軍事作戦で反政府勢力を掃討した地域に対して道路や学校等のインフラ整備、農業指導、司法・行政システムの構築などの支援を行い、住民の信頼を得て掃討後の治安を維持していくのが狙いのようです。軍が大きな役割を果たす活動ですが、民生部門との連携・調整を求めており、私が出席する会議等でも民生部門との連携の必要性を強くアピールしています。明らかに軍事作戦を成功に導くための民生支援の活用ですが、支援の質に関してはどこまで確保できるのか疑問です。あまりにも時間が限られているからです。地雷が埋まる紛争収まらぬ地で畑を耕し作物を収穫するのにどのくらいの月日がいるでしょう。これから植える柘榴の木に実がなるのに、そしてそれが農家に現金収入をもたらすのに何年かかるのでしょう。行政システムが短期間で再建され正しく機能するでしょうか。18ヶ月ではどうにもなりません。

このように開発支援が軍事作戦の補完として議論される国際社会の風潮が高まってきていることに私は大きな不安を感じます。不安の理由は、真に必要な腰をすえた中・長期の復興・開発がおざなりにされること。短期間での成果を追い求めるあまり、拙速な継続性のない支援に陥ることが危惧されるからです。
今、日本は中長期的な視点に立ち、JICAによる人を通じた支援を積極的に実施中です。JICAは多くの民間人をアフガニスタンに送り民生・開発支援をしている数少ない2国間の国際組織のうちのひとつです。
ここで働く人たちはどこの国から来た人でも、日々自らの命を危険にさらしてアフガニスタンの復興を信じ活動しています。そのおかれた状況や政治的な動向に時折疑問を感じながらも、自らの使命を信じ互いに支えあいながら仕事をしています。一方で、彼らを送り出している国の人たちから見たアフガニスタンはどうでしょう。今BBCやCNNで報道されるアフガニスタンは民生・開発支援の対象国としてのアフガニスタンではありません。息子を、夫を、自国民を送っている戦場であるというのが世界の、特に欧米先進諸国の国民の見方でしょう。実際に数多くの自国民を兵士として送り出し失っているアメリカやイギリスの国内でのアフガニスタン支援への反対感情は高まるばかりのようです。かといって、その国民感情に応えるための、焦っているとしか映らない軍隊を退却させるための支援(“出口戦略”と言われています)はいったい誰のための支援なのかますます疑問に思えてきます。

日本は、民生・開発支援を通じて、“アフガニスタンの人たちが自らの生活を安定させ、自らに自信を持ち、将来への希望を具体化していくための重要な支援”を現地に民間人を派遣して実施しているのだということを政治的に強くアピールすべきだと思います。軍事支援をしていなくてもアフガニスタンの平和に大きく貢献していることを、そしてより中・長期的な視野に立って本当にアフガニスタンの人たちが望む支援をしてきているのだということを。

7月の下旬に開催されるカブール会合で「開発・民生支援に軸をおいた日本の明確な支援スタンス」を明解に打ち出すことは、欧米諸国が展開する軍事作戦からの不要なインターベンションを回避するためにも、また、日本が軍事作戦に参加していない:即ち人的被害を出していないという不当な非難を回避するためにも必要不可欠だと思います。国際舞台でしっかりと発信することが日本の外交にとっても、世界の平和にとっても本当に重要なのだと思います。

なんだかちょっと難しい話になってしまいましたが、今私が現地で感じていることを佐久の皆さんにお伝えしたくて書かせていただきました。佐久とカブールは離れていますが、グローバル化した現代社会ではアフガンの不安定化が日本へもたらす経済社会的不安は冷戦時代とは比較にならないほど大きいといわれています。そう、佐久の平穏な暮らしにもアフガンの安定は関係しているのかもしれません。

こちらはそろそろ半袖でいい感じの天気です。「もう36度になった、夏が怖い。」とジャララバードの同僚から連絡がありました。同じ国でも地域により結構な寒暖の差が激しいのです。日本はまだまだ寒いようですが、佐久はそろそろ「たらの芽」の時期ですか。来年はたらの芽のてんぷらが食べられる時期に佐久に帰りたいですね。

24℃のカブールにて。
5月2日、花里信彦

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