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JICA ボリビア 井出教子さんのpachamama通信 vol.12

更新日:2015年2月2日

佐久市のみなさんへ No.12

3月初めにウユニ塩湖に旅行した友人が、塩湖でのツアーで高校時代の同級生の弟と一緒になったらしい。なんとなく似ているな…と思った友人が聞いてみると、「はいそうです。お久しぶりです先輩。」という答えが返ってきたのだそうだ。

友人は日本人で、高校時代の同級生とその弟さんも日本人である。地球の裏側にあるボリビアで、日本から来た二人が同じ日程でウユニへの旅行を計画し、さらにウユニにある数多くのツアー会社の中から同じ会社を選ぶ偶然というのはすごい。しかしその後、別の知人が、「この時期ウユニには大量の日本人が押し掛けていて、町中日本人だらけ。右を向いても左を向いても日本人ばっかりですよ。春休みを利用して旅行に来ている大学生が多いからね。」と教えてくれた。そんなわけで、二人の地球の裏側での再会劇も案外ありえないことではなかったのかもしれない。

ウユニはボリビア・ポトシ県に位置する小さな町で、その町から車で30分ほど行ったところからチリとの国境付近にかけて南北約100km、東西250kmに渡って広がっているのがウユニ塩湖である。(塩湖は通称で、正確には「塩原」と言うらしい。)私がボリビアに来た頃から、日本でもたくさんのテレビ番組でウユニ塩湖が特集されているという話は実家の母から聞いていたが、そのせいもあってウユニへの旅は今大学生の間でかなりブームになっているようだ。

確かにウユニ塩湖周辺には、他の場所では見ることのできない絶景が広がっている。一面真っ白な塩の平原、赤や緑色をした数々の湖とそこにたむろする桃色のフラミンゴ、標高3700mから見上げる空は近くて青い。水が張っている雨季の塩湖では、風が無ければ水面が空の風景を映し出し、某衣料メーカーの広告にも使われていた鏡張りの風景を見ることができる。夜になるとその鏡に今度は星々が映り、晴れた夜は静寂に包まれた塩湖の真っただ中でまるで天然のプラネタリウムにいるかのような360℃の星空が広がる。

ウユニ塩湖の風景

ウユニ塩湖1

(以下 友人提供)

ウユニ塩湖2

ウユニ塩湖3

ウユニ塩湖4

日本の旅番組でも紹介されているであろうこのような魅力的なウユニ塩湖の風景は、しかし実際にはかなり運がよくないと見ることはできない。暴風や雨で塩湖がきれいに見えない時もあるし、乾季には水自体が無いので鏡張りの風景自体存在しない。雨季で水が張っていても風が強ければ鏡張りの風景は見ることができない。(水の張っていない塩湖も、それはそれでとてもきれいなのだけれど。)月が出ている時期は星を見るには条件が悪く、天然のプラネタリウムは新月の限られた期間のみ、そして晴れていて風の無い夜にしか出現しないのである。

そんなわけで、せっかく日本からやってきても、期待していたような風景を見ることができなかったという話はよく聞く。しかし自然相手のことなので、これはもう「仕方ない」と思う他ない。2月にウユニに行っていたボランティア仲間は「雨のウユニも、暴風のウユニも、それはそれでめったに見れない風景だから、と僕は思い込んで雨のウユニを楽しみましたよ。負け惜しみかもしれないけど。」と言っていたが、これはある意味とても合理的な考え方ではないかと思って私は聞いた。

「仕方ない」というのは、この国で「Ni modo(ニモード)」という表現を使うのだが、この言葉を私の周りのボリビア人たちはとてもよく使っている。計画していた会議に人が集まらなかったとき、誰かがうっかり忘れものをしたとき、自分が(もしくは相手が)待ち合わせに間に合わなかったとき、約束を忘れていた(もしくは忘れられていた)とき、彼らの口をついて出てくる言葉が「Ni modo」である。客観的に見て「いやいや、ちゃんと計画性をもってやっていればできたでしょ。」と突っ込みたくなる場合でも、大抵の場合は「仕方ない」の一言で済まされている。これは“上手くいかなかったらその原因を考え、次に生かしなさい”という日本でよく囁かれる教えとは対極の態度であるように思われる。

このボリビア人の“ニモード的姿勢”については、怠け者であるとか、勤勉さが足りないとかいう風に批判することもできるのかもしれないが、つい先日、長い間貧困の国で援助活動をされている方の本を読んでいたら、外国暮らしは不便であるという話のくだりでこんな一節が目に留まり、案外そうとも言い切れないと思い直した。

「東南アジアなどの一部の国を除いては、外国では、<中略>ものを頼んでも、その時間通りに職人が来ることはまずない。来てもどこかきちんと直したり取りつけたりできない。製品そのもののつくりが精密でない。オーダーしたものは、何日も待たなければならない。せっかく来たと思ったら、間違ったものを持ってくる。自分の扱っている機械をよくわかっていない。カタログにあっても実際には品物がない、などなど、文句の種は尽きないようである。だから、人間、辛抱が第一だということになる。<中略> 相手がすぐ、こちらの思い通りにしてくれる、などと期待すると始終怒っていなければならないから、すべてのことは成り行きまかせ、と初めから思い諦めた方が、こちらの神経が疲れずに済む。」(曽野綾子(1996),「近ごろ好きな言葉」新潮社)

「仕方ない」はあきらめの一言であると同時に、辛抱の"二モード的姿勢"について考えさせられ、また異文化を知ることの難しさと面白さについても実感させられた"上手くいかなかったらその原因を考え、次に生かしなさい"という日本的態度も、“上手くいかなかったら、仕方ないと思いなさい”というボリビア的態度も、いずれも、それぞれの社会の中でうまく生きていくために培われてきた習慣なのかもしれない。そう考えると、どちらが良いかということは、その社会の文化的構造の中でしか判断できない問題なのではないだろうか。と同時に、「ノリコ、今日の会議は中止よ!すっかり忘れてたのよ。ごめんなさいね~!」という同僚に、やれやれと思いながらも「二モード!」と応じるようになりつつある私が、三か月後帰国して日本社会にちゃんと戻ることができるのか…ちょっとした不安も感じる今日この頃である。

4月4日 残暑の厳しい秋のコチャバンバより
青年海外協力隊 平成23年度一次隊 環境教育
井出 教子

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