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JICA ボリビア 井出教子さんのpachamama通信 vol.9

更新日:2015年2月2日

佐久市のみなさんへ No.9

佐久市の皆さんこんにちは。

前回のパチャママ通信でお伝えした「ずっとやってみたいと思っていたこと」。それは環境絵画コンクールと展覧会の開催です。

私のボランティアとしての職種は“環境教育”で、配属先の教育事務所からは大きく分けて二つのことに対する協力を求められています。一つは“市内小中学校における環境教育の振興、教授法の向上”。現在ボリビアの小中学校では環境教育という授業科目はありませんが、各教科で子どもたちに環境について考えさせる授業を行わなければならないことになっており、その手助けをするというものです。二つ目は“環境問題に対する市民への啓発活動”。これは、環境問題に興味を持ってもらうために、子どもだけでなく、保護者や一般市民に向けて行う活動のことです。

市民に対する啓発活動としてどんなことをしたらいいのか考え、思いついたことの一つが今回のコンクールと展覧会でした。日本では毎年、絵画や作文、エッセイ、詩、書道などなど様々な分野でコンクールが開かれていますよね。私も小中学校時代絵画や読書感想文のコンクールなどに応募した思い出があります。しかしコチャバンバでは、一般の小中学生が応募できるこういったコンクールの開催は、私の知る限りほとんどありません。

そこで配属先の同僚と相談した結果、コチャバンバ市内、および隣接するキラコジョ地区、ティキパヤ地区の小中学校を対象に絵画コンクールを実施することになりました。コンクール開催の目的は“絵画を通じて子どもたちに環境問題への興味・関心を高めてもらうこと”です。

4月に実施したこのコンクール、応募総数は400点以上で、思っていた以上にたくさんの作品が各地から寄せられました。

絵画コンクール1

絵画コンクール4

絵のテーマは「私の住みたい地球」。どうでしょう?日本の子どもたちとはちょっとタッチが異なりますが、どれも心温まる絵だと思いませんか?これらの絵の中から優秀作品60点ほどはJICAの協力を得て日本のコンクールに送らせてもらいましたが、その他の作品にもいいものがたくさんあったので、7月に市内の展示場を借りて、展覧会を実施しました。(ちなみに応募した日本のコンクールはこちらです。

子どもたちからのメッセージがこもった絵を、できるだけたくさんの人に見てもらいたいと思って開催した展覧会。開会式には市内の小中学校の生徒や先生、保護者の皆さん、広告を見た一般市民の皆さんなど60人ほどが会場に集まってくれました。

この展覧会では、生徒たちによる絵画の展示以外に「水俣病写真展」も併せて行いました。日本で起こった環境問題に関する苦い経験をボリビアの人に知ってもらい、ゴミのポイ捨てや生活・工業排水の垂れ流しなどといったボリビアの現状を振り返る機会にしてもらえたらという思いからです。この「水俣病写真展」は、同期のJICAボランティアで、コチャバンバにある灌漑組合に農業土木という職種で派遣されている山本一憲さんに協力をお願いしました。山本さんは、水俣市のある熊本県のご出身。写真展開催に向け、熊本県から写真や患者さんの体験談など水俣病に関するたくさんの資料を取り寄せ、準備してくださいました。

開会式では、「水俣病~日本の経験~」と題して山本さんと二人で発表を行いました。高度経済成長下の日本がどのような状況だったのか、なぜ水俣病が引き起こされたのか、この体験から日本人が学んだことは何だったのか、そしてかつての日本と現在のボリビアには「環境を顧みずに経済発展を追求する」という似通った点があるのではないか…など、20分ほどの短い時間でしたが、当時の写真やビデオを交えながら話をさせてもらいました。

発表の最後に山本さんが、現在の水俣市が“環境モデル都市”として過去の反省を生かして発展している様子を紹介すると、参加者からは「おぉ~」というため息が。特に、現在水俣市が23項目にもわたる分別を実施しているということを知ると、「一体どのように分別が行われているのか?」、「回収は週に何回しているのか?」、「私たちもそのように変わっていかなければならない!」などなど皆さん興味津々で質問や意見が飛び交っていました。

講演4

展覧会を訪れてくれた人たちから寄せられたコメントに以下のようなものがありました。
 “Es sorprendente como esta enfermedad afecto tanto a familias. Es importante que cada uno de los ciudadanos tome conciencia de sus actos, como arrojar basura en la calle etc.” (水俣病がこれほどまで多くの家族に被害を及ぼしたことを知って驚きました。私の住むコチャバンバでも、「ゴミをポイ捨てしない」など、市民一人一人が自分の行動を顧みることが大切だと思いました。)

道や川にはゴミが大量にポイ捨てされ、回収の追いつかないゴミのコンテナからは異臭が漂うという状況が当たり前の様に見られるコチャバンバ。しかし、子どもたちが描いた「私の住みたい地球」の絵は、たくさんの動物たち、笑顔の人々、魚の泳ぐ清流、緑や花にあふれた自然を描いたものがほとんどでした。子どもたちが思い描く理想の地球に少しでも近づけるよう、市民一人一人が自分の生活を顧みることの大切さを、これからもボリビアの人たちに伝え続けていきたいと思っています。

今回一緒に展示会を行った同期協力隊隊員山本一憲さんにインタビューさせていただきました!

講演5
(写真は発表中の山本さんです。)

Q1. ご出身は?
「熊本県上益城郡山都町です。」

Q2. 日本ではどのような仕事をされていましたか?
「熊本県庁で農業土木の技術者として、農業農村整備の計画から設計、現場監督まで行っていました。農業農村整備とは、主に農村集落の海岸堤防(干拓)、ダム、用排水路、ほ場整備、農業や水道・公園の整備を指します。農業土木と環境問題には非常に密なつながりがあります。土木工事を行うことでその地域の環境を変えることになるので、10数年前からは環境との調和に配慮した事業の展開が義務付けられ、自供の計画時に環境調査を行い、自然と共存する計画、設計、工事が行われるようになりました。」

Q3. ボリビアに来た当初から「水俣病の展示をしたい」とおっしゃっていましたが、そう考えるようになったきっかけは何ですか?
「ボリビアに来て最も印象に残ったのは、日常的に悪気もなくポイ捨てをする人達が多い事です。また、汚染された川の水が農業用水に使用されたり、川で洗濯や洗車をする風景もよく見かけます。この価値観(意識)を変えるにはそれなりの衝撃的な何かが必要だと感じました。また、失敗から学ぶ事は大きく心に残ります。そこで、私の出身県で起きた日本の失敗事例である水俣病の紹介を行う事で、ボリビアの人たちの心にインパクトを与える事ができ、少しでも環境問題の重要性を認識してもれえればと思いました。」

Q4. 水俣病写真展を通じて、どのようなことを伝えたいと考えておられますか?
「経済発展を優先して環境を無視した代償に非常に多くの犠牲者が生まれ、環境を失った事。犠牲者の多くは、弱い立場にいる水俣の環境で共存していた地域住民、そして生まれてきた子供達だという事。さらに、当時の行政、企業が、何の処置もしなかった事で、差別や偏見を生み更に犠牲者が増えた事。今の水俣市は、地域住民の努力により世界でも有数な環境都市になっている事。それらを通して、行政や企業に頼るのではなく、個人個人が環境問題に興味を持ち、実践してほしいと思っています。」

Q5. 熊本では幼い頃から水俣病について学ぶ機会が多いのでしょうか?また、山本さん自身は水俣病についてどのような感想をお持ちですか?
「私の小中学校時代は他県の学校と変わらなかったと思いますが、出身県という事もありより身近に感じたと思います。私自身、今回の展示会で水俣病や今の水俣市を更に深く知る事ができました。行政や、企業に対してただ受身でなく、一人一人が正しい知識を持って環境問題について考え行動しなければ取り返しのつかない事になる事を再度水俣病から学びました。」

Q6. 展示会をしてみての感想を教えてください。
「熱心に質問されたりと、少なからず関心を持ってくださった方がいたので非常に嬉しく思いました。また、展示会に合わせてインターネットでも情報を発信していたのですが、他国でも興味を持ってくれる方がいた事を、非常に嬉しく思いました。しかしその反面、日本に住んでいたときは、水俣病は世界的に有名な事件だと思っていましたが、知らない方の方が多くいる事も知りました。今後も展示会の機会を作り少しでも多くの人にインパクトを残すことができればと思っています。」

9月5日 春の日差しが感じられるコチャバンバより
青年海外協力隊 平成23年度一次隊 環境教育
井出 教子

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