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2019年度 佐久市水田フナ養殖技術研修を実施しました。

更新日:2019年12月20日

水田フナ養殖とは

水田フナ養殖とは、水田を活用して、フナを5センチ前後の大きさまで育てる養殖方法です。

歴史

清らかな水が流れる千曲川沿いの桜井、跡部、中込地域等において、かつて水田で水稲と一緒に鯉を育てる「水田養鯉」が盛んに行われており、フナは副産物として収穫されていました。
その後、鯉はため池等で飼育されるようになり、現在では水田養鯉は廃れましたが、水田転作の進展とともに昭和53年頃から徐々にフナが水田で養殖されるようになりました。

養殖の流れ

〇産卵・孵化(5月):水田に産卵場を作り、親ブナ(卵を産ませるために大きくしたフナ)と水草を入れます。
         1日から2日の間にフナが水草に卵を産むので、卵のついた水草を産卵場の外に出し、孵化させます。
〇飼育(6月~9月):餌を与える(給餌)、水草を除去する、水位・水温の調整などの管理を行います。
〇水揚げ(9月):体長4センチから7センチを基準として、フナの水揚げを行います。

出荷販売および料理方法

佐久市では、全国的にも珍しく、生きたまま5センチ前後の小ブナが袋詰めで出荷販売されます。
佐久市ではしょうゆと砂糖で甘辛く煮つけた甘露煮でいただく方法が一般的です。
また、鮒と一緒に育てた米は安全安心な「鮒米」として、関西地域を中心に高い評価を受けています。

改良ブナ

佐久市では、長野県水産試験場佐久支場が育成した、「改良ブナ」と呼ばれる骨の柔らかい丸い体形の食味が優れたフナが主に養殖されています。

長野県水産試験場佐久支場では、3年間育てた親ブナ(卵を産ませるフナ)を毎年5月に販売しています。

佐久市水田フナ養殖技術研修

佐久市においてフナの養殖に必要な技術を学べる佐久市水田フナ養殖技術研修を実施しました。
研修生の皆様には、飼育期間を通して水田フナ生産活動を一緒に行いながら、実地研修、座学を受けていただきました。

修了証書授与式(12月19日)を実施しました

4月から実施していた水田フナ養殖技術研修を終え、研修生一人一人に修了証書が手渡されました。
今年は4名の研修生が研修を無事修了しました。

研修生一人ひとりから、きっかけや実際に研修に参加してみての感想、今後について発表していただきました。

今までお世話になった講師の方々よりお言葉をいただきました。

4月から9月までのおよそ半年間、講師の方々に様々なお話をお伺いしながら研修を実施してきました。
研修では、今まで知らなかったフナの生産について知るたびに、新たな疑問を講師に聞き、より深い知識を身につけていく研修生たちの姿が印象的でした。
実践しながら研修を受けていた研修生も四苦八苦しながら研修毎に講師に自身の生産の状況を報告し、アドバイスを受けていました。
今回で研修は修了となりますが、研修生の皆様が今回の研修で学んだことを生かし、小ブナの生産に関わっていただけることを期待しています。
研修生の皆様におかれましては、半年間ありがとうございました。お疲れ様でした!

第7回研修会(8月22日)を実施しました。

第7回研修では、JA佐久浅間の古越氏より小ブナの出荷についてお話しいただきました。
出荷する前に異物や異種の混入の選別をきちんと行うことや販売するのは4センチから7センチのフナのため、4センチ以下や7センチ以上のフナもきちんと分けることなどお聞きしました。

出荷のお話のあと、講師の水田にて生育状況の確認および水揚げの準備についてお話しいただきました。
「今年の天候不良もありなかなか大きくならなかったが、フナを育てる最後の段階でエサも多くなり大変な時期。水揚げまでしっかり世話をしたい。」と講師の方のフナへの愛情が感じられることばをいただきました。

水揚げの際には水田から水を抜いて、水が落ちるのと一緒にフナを落としますが、水を落とすと遡上するフナもいるため、注水部付近にも仕掛けを作っておき、フナを集められるようにしておくこと。
また一度にすべて集めきれないので、水を落としたり入れたりを繰り返して集めること、フナをなるべく傷つけないように収穫用のあみや収穫方法に気をつけることなどお話しいただきました。

雨が降ってしまいあいにくの天気でしたが、水田のわきに立つと少し先にフナの様子を見ることができました。
ぷっくりと丸いおなかのフナを見て研修生も思わず笑顔になっていました!
本日で基本的な研修はすべて終了となりました。今までの研修の資料をまとめた研修生のファイルを見て、研修生がしっかり研修に取り組んでいた姿がうかがえました。

第6回研修会(7月17日)を実施しました。

第6回研修では、長野県水産試験場佐久支場の熊川支場長に夏場のフナの育成についてお話しいただきました。
8月は収穫に向けてフナの体重を伸ばすための大切な時期のため、酸素欠乏や水質悪化に注意が必要との説明を受けました。
水温が高くなると水中の酸素量が減少すること、夜間は水中の酸素量が日中に比べて大幅に減少すること、フナの体重が増えることで呼吸量が増え、酸素欠乏になりやすいなどの注意点を教えていただきました。
また水質を悪化させないためにも、残餌を出さないように給餌をすることが大切とのことでした。
そのほかに病気などのことについてお話しいただきました。

座学の後は講師の水田に伺い、フナの生育状況の確認を行いました。前回の研修の時よりは大きくなっていましたが、長雨が続き、水が冷たかったせいか昨年の同時期より1センチほど小さいとのことでした。
ですが、これからフナが大きくなる大切な時期のため、天候や水温、給餌量に気をつかっていく必要があると説明を受けました。

酸素欠乏を起こしやすくなる時期でもあるので、注水排水には十分注意する必要があるとのことでした。

今回は座学として専門的なお話を水産試験場から伺いました。酸素欠乏や病気についてなど科学的な面からお話しいただき、研修生も熱心に聞いていました。
水田の様子を確認した際には、「いろんな生き物がいる水田の方がよいと思う」と講師の方からお話しいただき、研修生も土づくりの大切さを感じていました!

第5回研修会(6月27日)を実施しました。

第5回研修では、講師水田にて孵化したフナの生育状況の確認を行いました。
水田には10ミリから18ミリほどの大きさに育ったフナがたくさん泳いでいました。
7月から8月にかけて一気に成長するため、餌を十分にあげる必要があるとのことでした。
また水田にはフナ以外の生き物(どじょうやオタマジャクシ)もいるため餌を食べられてしまうので、フナに餌が回るようにたくさん餌をあげる必要があるとのお話を聞き、研修生も驚いていました。

鳥害対策についてもお聞きしました。
講師水田には糸が張ってあり、数十メートル間隔で横糸をはり、弛んだり絡んだりするのを防いでいました。対策をしていないと鳥がどんどん入ってフナを食べてしまうので、ネットや糸などで必ず対策はしたほうが良いとのことでした。
「この糸はどうやって張ったんですか」の問いに「糸巻きを使って、水田を行ったり来たりしながら一人で張った」とお答えいただき、研修生一同驚いていました。

災害対応についてもお聞きしました。
雨の多い季節は、水があふれてしまう心配があるため、水量を調節する必要があること、あふれてしまうとあっという間にフナが外に出てしまうことなどお聞きしました。
また酸欠防止のために注排水を行っていて、排水部には目の細かい網を設置しフナが逃げてしまわないようにしていました。設置した網も1日1回から数回掃除をし、ごみや目のつまりをとる必要があるとのことでした。きちんと掃除をしていないと、詰まってしまい、水があふれてしまうとお聞きしました。

今回は松本大学の学生さんも研修に見学にいらっしゃいました。研修生と同じくらい熱心に講師の方に質問している姿が印象的でした。研修生も水田にいるたくさんのフナの様子を見て、フナの成長を喜んでいました。「このフナが可愛くて仕方ない」という講師の方の言葉にも笑顔でうなづいていて、フナへの愛着が感じられました!

第4回研修会(5月27日)を実施しました。

第4回研修では講師の飼養池から水田へ親ブナを移動させる作業を行いました。
飼養池の水をポンプを用いて徐々に抜いていき、ある程度の水位まで減ったら、親ブナをすくい、重さをはかり、バケツに入れて水田へ移動させました。
バチャバチャと跳ねる元気の良い親ブナたちに研修生も苦戦していました。

水田の産卵池には事前に採取してきた水草が入っており、そこに飼養池から移動してきた親ブナを入れました。
水温が上がってきたら、促されて産卵を始めます。
親ブナが産卵を終えたら、卵のついた水草はすぐに水田へと移されます。親ブナに数回産卵させる場合は、新しい水草を産卵場へ入れます。卵が密集してしまうと孵化率が下がってしまうためです。

親ブナを移動させた後は鳥害対策について、お話をお聞きしました。
講師の水田には鳥害対策として、50センチメートル間隔で縦にジグザグに糸を張っていて、これなら時間はかかるが一人で作業できると教えていただきました。
また孵化したては大きな餌を食べられないため、小さなプランクトンをたくさんわかせておく必要があることのお話をお聞きしました。

親ブナを移動させている際に、前回の研修で伺った産卵期の雌雄の目印を研修生各々確認していました。初めは「わからない」と言っていた研修生も何度か確認するうちに「わかってきた」と言っていました。
研修生から出る質問も、今までの研修を踏まえたものが多くなっていて、フナについての理解が深まっている感じがしました!

第3回研修会(5月16日)を実施しました。

第3回研修では長野県水産試験場佐久支場にうかがい、親ブナの配布の様子を見学しました。また改良ブナや親ブナについてお話をお聞きしました。
もともと赤いヒブナの中に黒くて丸い体型のものがいたために、改良を重ねて現在の「改良ブナ」が出来上がっていること、だからたまに黒いフナの中に赤いフナが混ざっていることなどお聞きしました。
また丸い体型のため、体型で雌雄を判断することは難しいが、繁殖期になると出る体の特徴があるようです。
今回配布された親ブナは一度、飼養池に放され、産卵の日まで飼育されます。

親ブナの産卵について説明を受けました。
フナは水温差で産卵するため、冷たい飼養池から温かい水田の産卵池に移動させることで産卵を促します。また産卵させる時間も親ブナを産卵池に移動させるタイミングによって変わってくるとお聞きしました。午前中に親ブナを移動させると、翌日の午後に産卵し、午後に移動させると翌々日の午前に産卵をすること、数回に分けて産卵をするため数日は産卵池に入れておき、産卵したら水草を水田へ移動させ、新しい水草を入れておくことなどを教えていただきました。

卵が密集してしまうと、酸欠を起こして孵化しなくなってしまうので、卵を薄く広く産ませるために、多くの水草が必要なこと、また産卵が終わった親ブナは弱っているため暑さで死んでしまったり、酸素を多く使うため、飼養池に戻しておくことなどの説明をお聞きし、研修生も親ブナの取り扱いや水草や産卵のタイミングについて熱心に質問していました。

いつも食べている小ブナではなく、大きな親ブナを見た研修生は「あんなに大きいんですね」と驚いていました。実際に配布される様子を見て、「来年こそは」と楽しみにしている研修生の姿があり、講師の方へ多くの質問がありました!

第2回研修会(4月26日)を実施しました。

第2回研修では、講師の水田にうかがい、実際の現場を見ながらお話をお聞きしました。
はじめに、一般的な水田との違いについて説明を受けました。フナを飼育するためには深さが必要なため、深さを確保できない水田は周りにアゼガードを使用し、高さを確保が必要です。またフナの生産を成功させるためには、ミジンコをたくさん発生させることが大切なため、水を入れる前の土づくりが大切と聞き、水田に入れる肥料について、研修生も熱心に聞いていました。

産卵場についても説明を受けました。産卵場とは、親ブナを産卵させるための場所です。周りをネットなどで多い、動物や鳥に食べられてしまわないようにしています。産卵場に親ブナを入れた際には、常に注水、排水を行い、フナが酸欠になってしまわないようにすることが必要だと教えていただきました。
また親ブナが産卵するための水草についても説明を受けました。水草はバイカモを使用するのが一番良いということですが、ほかのものでも代用は可能との説明を受け、近所に水草を探しに行ったり、身の回りにあるものを使ってみようと研修生も考えていました。

飼養池も見学させていただきました。
飼養池とは、産卵が終わった親ブナを、飼育するための池です。深さがあると鳥などに狙われる心配も減るとのことでした。きちんと育てることで次の年もしっかり産卵してくれるフナに育ってくれると教えていただきました。

初めての現場での研修でしたが、講師が研修生と現在の農業のかかわりについて情報交換をし、研修生にあったアドバイスを行ってくださり、研修生からも様々な質問が出ていました。今年はじっくり研修を受けて、来年に向けて準備をしていきたいという研修生が多く、今から研修生の来年の活躍が期待されます!

開会式及び第1回研修会(4月16日)を実施しました。

2019年度は4名の研修生に参加していただきます。
開会式では講師の皆様にもご参加いただき、参加証の授与を行いました。

第1回研修では、水産試験場佐久支場の熊川支場長より水田フナ養殖の総論についてお話しいただきました。
水田フナ養殖手引きを資料に水田についてや、産卵から水揚げまでの流れを説明していただきました。
研修生からはいくつも質問が出て、皆さんの意欲が感じられました。
これから9月までの半年間の研修ですが、水田フナについて多くのことを学んでいただき、佐久市のフナの文化を次代に伝えていただくことを期待しています!

お問い合わせ

経済部 農政課
電話:0267-62-3203
ファックス:0267-62-2269

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