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ウェブ展覧会〈脱皮する大地・浅間山〉長岡國人展

更新日:2021年2月6日

ウェブ展覧会によせて

長野県と群馬県にまたがる、2,568メートルの活火山・浅間山は、古くからその活発な火山活動によって、佐久地域の風土や人々に大きな影響をもたらしてきました。浅間山の山麓に生まれ育った原体験を、国内外を越境しながら、様々な形態の作品によって表現し続けてきた美術家・長岡國人(1940-)も、その一人です。

本展「〈脱皮する大地・浅間山〉長岡國人展」は、約170点の作品によって、長岡の50年間に及ぶ活動の全貌を振り返るものです。当館は、市立美術館として当市出身の作家を紹介するだけでなく、長岡の多種多様な作品群に共通するテーマを伝える上でも、本展の開催にもっともふさわしい会場であると考え、準備を進めてきました。

しかしながら、現在は新型コロナウイルスの感染が拡がる中、作家の原点である当市に足を運び、実際に作品を目にしていただくことが困難な状況にあります。会期中にお越しいただけない多くの皆様にも、展覧会をお楽しみいただきたきたいという思いから、この「ウェブ展覧会」を配信します。

令和3年1月
佐久市立近代美術館

※本ウェブ展覧会は、2021年3月31日(水)までの公開を予定しています。

第2展示室 〈石の脱皮〉シリーズ

〈石の脱皮〉は、明治・大正時代の和紙製の繭袋や、東南アジアやアフリカ産のタパ(樹皮布)を素材として、柿渋や墨、弁柄などで彩色を施したコラージュ作品によるシリーズです。

長岡が当時の拠点であった西ベルリンから帰郷した際、生家近くの倉庫内に積み上げられていた繭袋を発見したのがきっかけで、1987年から制作が始まりました。一つ一つ丁寧に作られ、大切に使われた痕跡の残る繭袋に接して、長岡は「昔の日本人の気質や、歴史や時間がこの素材の中にまとまって凝縮されている」と感じたといいます。

このシリーズは、現在まで約30年間にわたって制作が続いており、作品は平面、半立体、立体と、多様な形態をとります。本展には、素材となった繭袋や、シリーズ最初期の額装絵画状の作品《繭の風景|Raupenlandschaft,Berlin》(1987年)や《石の脱皮|Steinhäutung,Kofu No.2》(1988年)も出品されており、シリーズの展開をたどることができます。
穀物を用いたインスタレーションのために制作された大型の立体作品も、本展示室で見ることができます。

(左)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.49》(1998-1999年)
(中央)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.10》(1995年)
(右)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.48》(1999年)

第3展示室  〈石の脱皮〉シリーズ・〈大地の脱皮〉シリーズ

本展示室の壁面には、〈石の脱皮〉シリーズのシート状の作品と、〈大地の脱皮〉シリーズの作品が並びます。

〈大地の脱皮〉は、1989年から1994年にかけて制作された、手漉きの紙によるシリーズです。それまで制作していた銅版画を離れ、新たな表現方法を模索していた長岡は、毎年夏に山梨県内の紙工房「αヒルズ」に滞在し、紙造形作品を制作するようになりました。浅間山の噴火の副産物である火山灰、軽石、土などを漉き込んだ作品は、山麓に広がる大地の表層を、実際に剥がしとったかのような質感をしています。

また長岡は、1980年代にアイスランドで溶岩の拓本を刷りとった体験を、〈大地の脱皮〉の着想源として挙げています。これは、1970~80年代の西ベルリンでの銅版画制作(第4展示室)と、2000年代に始まる〈ヨーロッパ・アルメニア墓碑拓本プロジェクト〉(第5展示室)との連続性を象徴する、興味深いエピソードです。

(左)《大地の脱皮|Erdhäutung,Juli No.4》(1992年・部分)
(右)《石の脱皮|Steinhäutung,BE-Z No.23(Sep)》(1991年・部分)

本展示室では〈石の脱皮〉シリーズの作品を用いたインスタレーション〈SPIRITUAL SPOTS〉も、写真と文章で紹介しています。国内外の会場に設置された作品の一部は、本展にも出品されています。

SPIRITUAL SPOTS|赤井塚古墳(2004.6.19-20)
《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.79》(2004年)

大地の鼓動|弁柄プロジェクト(2011.4.29-5.22)
(左)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.161》(2010年)
(中央・左)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.154》(2010年)
(中央・右)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.149》(2010年)
(右)《石の脱皮|Steinhäutung,Wadayama No.156》(2010年)

第4展示室 色彩銅版画・素描画・水彩画

長岡は、25歳で西ベルリンに渡ったのち、現地のベルリン国立アカデミー及びベルリン国立芸術大学で銅版画技法を学びました。1970年代後半からは、各国の国際版画ビエンナーレに参加し、ウィーン国際版画ビエンナーレ グランプリ(1977年)など多数の賞を受けました。

本展のコピー「私は浅間山を去ったが、私から浅間山が離れることは決してなかった」の引用元であるポートフォリオ『ASAMA Project No.2』(1980-81年)は、長岡國人の銅版画と、弟の徹氏が撮影した浅間山の写真によって構成されています。ポートフォリオには、浅間山の火山活動歴と長岡の幼少期の記憶を語るテキストが付属しています。

銅版画作品と並行して、1981年から85年にかけて制作された水彩画〈地球切開計画〉シリーズでは、風景画に皮膚のイメージ(ドイツ語タイトルLandnarbenplan の Narben は傷の意)を重ねて、人類の環境破壊を表現しています。

本展示室には、長岡が西ベルリンに移住した直後に制作した水彩画も展示されています。硬い紙をニードルで引っ掻き、そこに絵の具を染みこませる手法によって描かれた作品からは、東西冷戦下の混沌とした情勢に翻弄されながら進むべき道を模索する、長岡の不安定な心境が伝わってきます。

(左)《遺跡|ISEKI/PYXXXII》(1983年)
(中央)《地球切開計画 No.20|Landnarbenplan No.20》(1982年)
(右)《探り求め|Tastend 1-17-5》(1970年)

第5展示室 〈ヨーロッパ・アルメニア墓碑拓本プロジェクト〉

〈ヨーロッパ・アルメニア墓碑拓本プロジェクト〉は、海外の墓地や教会に残された墓碑を、東洋の複写技法である拓本によって記録する活動です。本展では、2002年から現在までに行われた12のプロジェクトのうち、ユダヤ教墓碑(シャッホフ・ユダヤ人墓地、チェコ)、キリスト教墓碑(シュティフト教会・ラウフェン、ドイツ)、世界文化遺産アルメニア十字の石(ノラドゥス、ノヴァンク)で採られた拓本を展示しています。

長岡は、30年もの長きにわたるヨーロッパでの生活の中で、墓碑文化に興味を抱いたといいます。現地から許可を受けて実施するこのプロジェクトでは、限られた時間の中で、墓碑に付着した土や汚れを取り除くところから、湿拓(しったく)(湿らせた和紙を墓碑などに張り付け、墨を含むタンポを当てて図や文字を写し取る技法)による採拓までを行います。終了後は現地で展覧会が開催され、報告書も刊行されました。

これらの墓碑には、風化や破損、民族紛争などによる人的被害により、消滅の危機に晒されているものが数多くあります。こうした現状を拓本に残していくプロジェクトは、文化財保護の観点から非常に重要な活動である一方、一点一点の拓本を長岡の作品として捉えると、和紙を湿らせて墓碑に押し付けることによって生じた皺の具合や、部分ごとの墨の濃淡など、作家の創意を読み取ることもできます。

本展では、ガラスケース越しではありますが、拓本の質感が伝わるよう、上辺のみを壁に固定する方法で展示しています。

世界文化遺産アルメニア十字の石 拓本プロジェクト
(左)《Noradus No.19》(2013年8月24日 採拓)
(右)《Noravank No.37》(2014年9月4日 採拓)

ユダヤ教墓碑拓本プロジェクト 石の脱皮=生と死/この世に人の名がある限り
(左)《Frida Diamant,gest.1.Feber 1897》(2003年)
キリスト教墓碑拓本プロジェクト 石の脱皮=生と死/この世に人の名がある限り
(右)《Arabl Strasserrin 1468》(2004年)

第1展示室 〈化石〉シリーズ

第1展示室では当館のコレクションを展示していますが、この展示室の一角にも長岡の作品があります。

展示されている〈化石〉シリーズの作品は、長岡が近年取り組んでいるブックアートです。「核戦争により絶滅した地球で、宇宙人によって発見された本」という設定をもつ作品を、私たちは展示ケース越しに鑑賞します。現在の地球にある事物が、異星の考古学資料として展示される未来は、そう遠くないのかもしれません。

(左)《化石|Fossilization,Earth sends SOS III》(2019年)
(中央)《化石|Fossilization,Earth sends SOS VI》(2019年)
(右)《化石|Fossilization,Earth sends SOS II》(2019年)

もっと知りたい方へ

長岡國人先生の活動歴や最新情報は、主宰ユニット「版画工房 WERK-STATT(ヴェルク・シュタット) N組」のウェブサイトで配信されています。

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。版画工房 WERK-STATT N組(外部サイト)

本文ここまで

佐久市立近代美術館 油井一二記念館

〒385-0011
長野県佐久市猿久保35番地5
電話:0267-67-1055
ファックス:0267-67-1068
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開館時間

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