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JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo12

更新日:2015年2月2日

(NO10:2011年3月)

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

アフガニスタン便り(第12号)

東北関東大震災の被害者の皆様のご冥福を心から祈るとともに、発生後1週間が過ぎ言葉で表せないほどの大変な日々を送られている被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

私事ですが、去る2月21日に不整脈の発作が出てしまい、カブールの国際治安維持軍の野戦病院の緊急処置室で2晩過ごした後、ドバイへ緊急移送され入院、その後名古屋に戻り専門医の指示のもと自宅静養をしていました。
地震発生は名古屋からカブールに戻る当日。成田と羽田発の飛行機はすべて止まりましたが、名古屋からは時間通りに飛行機が飛び立ちました。途中のドバイの空港で、またカブールに到着後のTVで見た津波の恐ろしさは、2004年にインドネシアで経験したスマトラ大地震(マグニチュード9.0)のときの津波被害(死者、不明者20万人)を髣髴させました。

アフガニスタン国民も日本の被害の大きさに衝撃を受けています。一方で、今までの日本からの支援に感謝するとともに今こそアフガニスタンが日本を支援すべきだと言う声が国中から聞こえてきます。
閣議で日本支援が決定されましたし、個人の寄付も寄せられています。仏像で有名なバーミヤンでは日本の人たちの安全のために祈る子供たちによるデモンストレーションも行われました。
JICAのアフガニスタン事務所も義援金を集め日本に送りました。被災地から遠く離れたカブールですが、何とか被災者の皆さんの支援に繋げようとしています。

日本では、JICAも福島県の二本松にある協力隊訓練所に450名を超える被災者の皆さんを収容しお世話させていただくととともに、首都圏においても家に帰れなかった人たちに宿泊施設や食堂を開放し出来る限りの災害対応をしています。
JICAはスマトラ大地震、ジャワ大地震、パキスタン地震等の今までの災害対応、復興を推し進めてきた経験を活かし、国内での支援に立ち上がるべきです。現地でのNGOや関係省庁の調整機能の確立や、海外からの支援の取りまとめや調整等はJICAの能力が十分に発揮できるはずです。実際の復旧工事、医療支援やトラウマ対策等はそれぞれの官庁や民間の皆さんが十分な力をもっています。
JICAは今こそ海外の災害対応で培ってきた調整能力に焦点を当てて、国内でも国民の皆さんの役に立てることを実践すべきでしょう。

アフガニスタンの支援に使われるお金は補正予算が全体のおよそ3分の2を占めるのですが、23年度の補正予算はおそらくその多くが被災地の復興事業に使われる事になるでしょう。当然のことだと思います。
先日、アメリカやイギリスの援助機関、世界銀行、アジア開発銀行の現地代表と議論した際「日本は政府がコミットした50億ドルの支援を縮小するのか」という話題になりました。
皆、「日本はアフガニスタンにとって主要な援助国。ただ、今の悲惨な国内状況を鑑みれば当然ながら国内の復興に傾注すべきだ。当面の日本のアフガニスタン支援の規模の縮小は当然だろう。」と言うのが大方の意見でした。
元駐日アフガニスタン大使のハロン・アミンさんの意見も同様です。「今、数十億ドルの資金をアフガン支援ではなく日本の復興に使うことは、世界の未来にとって必要なこと。」

これが、世界の考え方です。何が本当に必要か、大切かをしっかりと判断している人たちが確実にいるのです。そういう世界の意見にも支えられて、日本の復興が着実な進捗を示すことを望みます。

さて、3週間ぶりに戻ったカブールはいきなり春のようです。気温は20度近くまで上がっていますし、事務所の庭のアーモンドの木の花も咲き出しました。暖房の効かない冷たい空気が吹き込む救急車で凍えながら病院に担ぎ込まれた3週間前とはまったく違う場所のようです。
あさって21日はナウローズ(アフガン新年)です。私にとってはこれで2回目のナウローズですが、庭のアーモンドがほころび、ばらの若芽がぐんぐん伸びだし、新しい年を迎える嬉しさを自然の変化とともに感じます。日本の正月も良いですが、自然のエネルギーの変化を自らの暦にうまく取り入れ、さあ新しい年こそ良い年にするぞという気持ちが感じられるナウローズはとても素直に受け入れることが出来ます。

アフガニスタンにとって新しい年は、「外国軍の撤退が始まり、自らが自らの国民を守り自立していくための力を試される最初の年」になります。外国軍がいなくなっていくのですから、当然ながらタリバン等の反政府勢力はその攻勢を強めます。外国軍は撤退の前提条件が反政府勢力の制圧ですから当然攻撃を強化します。今年の4月以降は治安の更なる悪化は避けられないでしょう。

我々も、すでに治安悪化の影響を受けています。先月のカブールの第2事務所(共同宿舎)の閉鎖に続き、ジャララバードで実施中の事業をリモートコントロールに切り替え、日本人を全員カブールに引き上げました。もうすでに日本人が現場に行って直接指導できるような状況ではないとの判断です。事務所から100メーターばかりのところでおきたカブール銀行ジャララバード支店の襲撃テロはその象徴ですが、それ以上に活動場所近辺でのテロの発生が増え続けています。
カブール首都圏開発を展開するカブール州以北でも治安が急激に悪くなっています。
加えて警察がPSC(警備会社)へ妨害を加える事由が発生しだし、関係者の安全が確保できないため、郊外での活動を中止しています。

予算の減と治安の悪化を前提に、人々に確実に届く支援を続けていく。これがJICAアフガニスタン事務所の新年のチャレンジです。

佐久でも、被災者支援は行うのでしょうか。
TVで惨状を見るたびに、被災者の皆さんのインタビューを聞くたびに、涙が止まりません。

心から、「がんばれ、日本!」 と想います。

3月19日、カブールにて。 花里信彦

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