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JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo4

更新日:2015年2月2日

(NO:2010年6月)

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

今日は6月2日。今日から3日間の予定でピースジルガという国内の和平を推進するための全国代表者会議が3日間の予定で始まりました。

既に3回も予定が変更され、ひょっとしたら実現しないのではないかとまで言われた会議ですが、ようやく開催に至りました。ただ、野党国会議員が不参加表明をしたり、地方代表者の選定の仕方に大きな反対が出たり、当然ですがタリバンや第2の武装組織であるヘクマティアル派(軍閥のひとつ)は開催そのものに反対し、各地で反政府テロが頻発しています。

この会議には1300~500人もの代表者が全国から集まるとされていて、当然ながら反政府勢力のテロが予測されたため、我々はその予備会合や登録が行われる日からジルガが終了するまでの1週間を外出禁止(自宅勤務)としました。
5月の上旬に「外国軍、国軍、警察、政府関係者に対するテロ攻撃を強化する。」というタリバンの声明が発表されて以降、特に5月18日の国際軍の車両を狙ったテロ(アメリカ兵カナダ兵6名を含む18人が死亡。通勤時間帯で多くの一般市民が死傷しました。)を機に大規模な攻撃が激化しています。いくつかのテロはわれわれの通勤路でも発生しており、移動にも大きなリスクが伴うため、安全確保のための自宅勤務です。どうにか、会議の開催中も何もなくすごせればよいのですが。
この会議により、和平の進展が見られれば良いのですが、正直なところ大きなインパクトを与えるには至らなそうです。なにせ、和平協議の対象となるタリバンと軍閥が参加しないのですからあまり意味があるとは思えません。和平へのプロセスとしてこの会議をひとつの試金石としたいというアメリカ、NATOはこの開催を高く評価し、強く推し進めようとしています。ここには大きな政策の違いがあり、「タリバンと和解する」ことが和平への第一歩とするアフガン政府と「タリバンは掃討する。その上での和平を追求する」ことが至上命題のアメリカが同床異夢で迎えた会議であるということがその成果に疑問を投げかける原因となっています。

たった今緊急連絡が入りました。9時40分ごろジルガの会場付近にロケット弾が打ち込まれ、カルザイ大統領の開会演説中に銃撃戦が始まったということです。会場から関係者の住居は離れていますので一応安心ですが、一般施設へのテロも予告されており息が抜けません。

アフガニスタンの紛争はプロキシワー(代理戦争)といわれています。一番わかりやすいのはインドとパキスタンの代理戦争。タリバンにパキスタンの諜報機関が金を流しインド関係者をテロの標的にしているというのはおそらく事実でしょう。アフガンの関係者は口をそろえてそういいます。
でも、もうひとつのもっと大きなスケールの代理戦争は冷戦時代にロシアがアフガンに侵攻したときから始まっています。まさに米ソの代理戦争がアフガンで行われたのです。ランボー「怒りのアフガン」を見て、その現地状況の描写の稚拙さに笑ってしまいましたが、あのときアメリカが支援してソ連と戦わせたムジャヒディンが時を経て軍閥になり、そしてその中からタリバンが台頭したのです。
今、アメリカは自分で育てたタリバンと戦っています。そして、そのタリバンを支援するパキスタンの後ろにはこれも異なるアメリカが存在しているといわれています。この紛争に投入されている軍需関連事業の規模は、アフガニスタン政府の国家予算の数●倍といわれていますから。なんだかとてもいやな気分になります。

そんなアメリカを中心とした軍の民生支援についてアフガニスタン便り3号で報告しましたが、いよいよ具体的にわれわれの事業にまで影響を与えてきそうです。以前お伝えしたジャララバードの「帰還民支援プロジェクト」の対象地でアメリカを中心とした国際軍が民生支援の計画を打ち出しました。おそらく予算規模はわれわれの数十倍。私たちが実施する、地元の人たちと時間をかけて計画を作り、保健所や灌漑設備を作ったあとの維持管理や運営方法など将来にわたって自立できるシステムを作って行こうという支援は、形式的なヒアリングで軍を使った圧倒的なスピードと規模で進められるアメリカの支援に蹴散らされてしまうかもしれません。
実際に紛争に疲れ果てた現地の人たちにとって、早く大規模な支援は細やかな継続性のある支援よりはるかに魅力的に写ってしまうのです。でも、今までも、外国軍の民生支援は場当たり的で継続性も持続性もないということはよくわかっているはずなのですが。早々に軍との調整をしなければなりません。

来週からは、カブール首都圏開発推進のためのプロジェクトがどんどん始まります。紛争地での開発が本当に有効なのか、開発によって和平に貢献できるのか、自らに問いながらの挑戦になりますが、気負わず皆を信じて進みます。

NHKの国際放送で鳩山首相が辞任したとのニュース。この4年間に何人の総理大臣が訳のわからない辞任をしたのでしょう。国際社会では日本の首相と話したいという国はないと聞いたことがあります。まあ、話をしても1年もたたないうちに違う人になっていては本気で話をする気にはなれないというのは人情でしょうね。
政治に翻弄されるのは庶民という構造は世界中どこに行っても変わらないみたいですね。

そろそろ本格的な夏が近づきつつあるカブールにて、

6月2日 花里信彦

5月11日の自爆テロで現場から300メーターほど離れたプロジェクトサイトの裏の建設中ビルの窓が爆発の衝撃波で破壊された様子(幸いプロジェクトの建物はガラスが一枚割れただけで、これも飛散防止フィルムが張ってありましたのでけが人等は発生しませんでした)。

テロ現場から500メーターほど離れた地元の市場の様子です。小雨模様の日でしたがテロ直後でも普段と変わらない一般市民の営みが行われています。

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