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JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo8

更新日:2015年2月2日

(NO8:2010年10月)

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

10月3日には佐久にお邪魔しました。200人を超える市民の皆さんの前でアフガニスタンの様子をお話しすることができました。時間が短かったので詳しい話を一人ひとりに判って頂けるようなプレゼンテーションはできませんでしたが、私の話に応えるように深く肯いてくださる様子に皆さんの真摯な気持ちを感じ取ることができました。引き続き別の部屋で20人ほどの有志の皆さんと意見交換を行いました。正直なところどのような質問が出るのか想像がつかなかったのですが、皆さんそれぞれの考えをお持ちでアフガニスタンのこと国際協力のことを真剣に議論下さる姿勢に胸を打たれました。1時間を越える意見交換になりましたが、実際にアフガンでの活動経験を持つ方や途上国の開発にかかわる方、そして高校の同級生も交えての意見交換はあっという間に終わってしまいました。また、このような機会がもてれば幸いです。

今回は佐久に戻って、故郷の皆さんから励まされ、力をいただきました。本当にありがとうございました。

さて、カブールは先週末から急に冷え込み、夏から秋、秋から冬へと急ぎ足で進んでいるようです。今朝の気温は8℃。昼間も15℃までしか上がりません。佐久とほぼ同じくらいの気温でしょうか。
街で売っている果物はパキスタンから運ばれる黒っぽいバナナとカンダハルで取れる柘榴くらいで、9月に見られたメロンやぶどうは消えてしまいました。寒くなるとりんごくらいしかなくなりますがそれもまた季節の移り変わりを十分に感じさせてくれる風景です。

本当なら今日は西部の都市ヘラートへ行っていたはずでした。最近のアフガニスタン政府との議論を通じてヘラートでの事業実施の可能性が高まってきていました。ひとつは水が豊富なヘラートでの稲作普及。これは現在東部ジャララバードで実施している稲作改善プロジェクトを拡大展開しようというものです。大規模な稲作農家はいないものの、豊富な水資源を支えとした稲作技術の向上にはアフガン農業省の期待が高まっています。もうひとつは、アフガニスタンの中央部を横断する「東西回廊」の西端となるヘラートでの道路建設です。これはイタリアが調査等を開始していますが一カ国ではとても対応できず、日本の協力を強く求められているものです。日本は過去にアフガニスタンをぐるりと回る環状道路の建設に大きく貢献してきましたが、今度はその経験も活かして東西回廊へと挑むことになるかもしれません。

このようなプロジェクトを開始する前に、まず現地に安全に行けるか、仕事ができる環境か、泊まる所があるか、防弾車は確保できるかなど実際に現地に行って治安状況を確認してくるのが今回の出張の目的でした。ところが23日の昼にヘラート中心部から少し外れた国連のコンパウンドがタリバンに襲われました。自爆テロと攻撃部隊の複合攻撃。直後のラジオ報道では警官8人が死亡。ちょうど休日でしたので出勤していた国連職員は少なく、国際職員の被害はありませんでしたが、国連が直接ターゲットになったのは昨年同時期のUN選挙チームに続いて2回目。国連は紛争地において基本的に中立の立場をとりますので、通常は紛争地でも国連が狙われることはありません。異常事態です。
実は私の出張の目的地のひとつはその国連コンパウンドにある国連機関で、25日に現地の治安状況について協議する予定だったのです。テロの実行日がちょっとずれていたら?とぞっとしましたが、このような事態になっては、先方との協議もできません。出張は中止しました。このような不安定な治安状況を考えると、また、一からやり直しになるのかもしれません。

JICAも事業を展開する東部のナンガルハール州では反政府勢力が日本人誘拐の脅迫を出しています。最近の治安状況の悪化は、我々の行動範囲、仕事ができる地域、即ちアフガンの人々に支援を届けられる範囲の縮小に直結しています。このような状況下で、我々を守ってくれている民間のセキュリティ会社の12月中旬までの解散が大統領令で指示されました。今月発表された修正案では外交使節と軍隊を守る警備会社は対象外となりますが、JICAはそのどちらでもなく、民間セキュリティ会社に守ってもらうことができなくなります。代わりにアフガン警察が守るというのがカルザイ大統領の主張です。確かに主権国家アフガンにおいて、国家警察でもなんでもない民間会社が大きな勢力を持っていること自体論理的ではなく、そこに使われている資金をアフガンの警察の能力強化に使えという大統領の理論は全く持って正しいのですが、麻薬使用者や犯罪者、文字も読めないような警官が多数いると言われている現在の警察、さらにタリバンとつながっている警官も多数存在するとなると、その警官に自分達の命を委ねるのは危険すぎます。何とか、特別な措置がとってもらえるように政府と交渉中です。

昨日から暖房を使い出したカブールにて、

10月26日 花里信彦

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