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JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo9

更新日:2015年2月2日

(NO9:2010年11月)

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

アフガニスタン便り(第9号)

8号でお知らせした民間警備会社の閉鎖についてはこの1ヶ月アフガン側とドナー間での集中的な議論が展開されました。特に大きな影響を受けることとなるアメリカが主導的な役割を果たしてくれましたが、未だ詳細な行動計画の策定までは至っていません。最初は外交使節と軍のみが警備会社の警備対象となる大統領令の内容でしたが、議論の結果、外国政府が公式に派遣する援助機関という形で例外措置が認められる事になり、これでJICAとドイツの実施機関が継続的に民間警備を使える事になりました。今回の議論でわかったのですが、日本とドイツを除くほとんどの国の援助機関は外交使節の一部としての資格でアフガンで活動しています。これは彼らが外交特権や治外法権も持っているということ。確かにそのくらいにしないとここでの業務遂行は厳しいものがあるかも知れません。
いずれにせよ、当面は今の警備会社にガードをしてもらえる事になりほっとしています。

今月は農業・農村開発に関する事業の進展がありました。

まずはFAOと連携したカブール州とバーミヤン州の地方部における灌漑施設と小水力発電の整備。無償資金協力での施設建設になりますが、地方においてもっとも必要とされている農業推進のための灌漑整備と生活に不可欠な電力を、小規模な水力を利用して発電する施設の提供です。アフガン側は水・エネルギー省が担当省庁になります。水・エネルギー省とは今後地方の小規模ダムの建設や水資源のM/P造りなどで主要なカウンターパートとして協働して行きます。(ちなみに写真は、私の隣がイスマイル・カーン大臣で西部ヘラートの強大な権力を誇る元軍閥です。その横はなんと廣木大使。現地の服装をしてスピーチもダリ語でした。)

灌漑、小水力発電建設の覚書署名式の様子(左から廣木大使、イスマイル・カーン大臣、筆者)

もうひとつは「稲作改善プロジェクト」の終了時評価と新しいプロジェクトの枠組みの協議です。このプロジェクトは過去3年間にわたり東部のナンガルハール州の圃場を中心に稲作技術の改善に取り組んで来ました。田植え、草取り、肥料の配分や時期、適正種の育種、収穫後処理等日本人の専門家が田んぼに入って教えてきました。この成果をアフガン側が高く評価し、活動を継続し、かつほかの州にひろく普及してほしいという要請が今回ありました。来年4月からはじめる新しいプロジェクトではプロジェクトの規模も大きくし、かつヘラートやマザリシャリフ等の州にも活動を広げていく予定です。本来は水が豊かで、ある程度稲作が定着している北東部の5州を対象にしたかったのですが、治安の関係でJICA関係者は行くことができません。そのためこれら5州に対しては研修で集中的に技術指導し、現地指導はアフガン人の指導員がする事になります。プロジェクト本拠地のナンガルハール州も最近の治安悪化が激しく、どこまで日本人の投入が続けられるかという不安要因もありますが出来ることを出来るまでやるしかありません。

稲作改善プロジェクトのコミッティー開催(筆者とグリヤニ農業牧畜省副大臣)

これから、厳しい冬に向かいます。厳しい冬だからこそ可能となる工事もあります。
11月からPMSとの共同事業としてクナール河の護岸工事が始まりました。水の増水が始まる3月中旬までには護岸と取水堰、取水口の工事を完成させなければなりません。8月の大洪水で予想外に河道が変化していて緊急な護岸工事が必要です。厳しい冬に凍てつくような水場での作業になりますが、現地の人たちが今期の小麦の生産をあきらめ、来年の洪水から畑を守るためにすべてを賭けて作業に取り組んでいます。12月の上旬には現地を訪ねる予定です。

農業省の後背地の丘に建てられた不法住宅群(普段は近づけないので農業省で撮影しました。土の家です)。
このような不法住宅にどう対処するかも今後のカブール首都圏開発における課題です。

先週はイード(イスラム教の謝肉祭)のため5日間の連休になりました。こちらの人にとっては日本の正月のようなもの。家族、親戚が集まって、晴れ着を着、おいしいものを食べ旧交を温める。裕福な人たちは牛や羊を屠って貧しい人たちと分かち合います。モスリムの人たちは「施す」のではなく「分かち合う」という行動が生活の一部になっています。豊かな者が貧しい人とさまざまなものを分かち合う。貧富の差はあるけれど貴賎はない。世界にモスリム人口が多いのも判るような気がします。モスリムというと即ちテロリストという印象を持ってしまっている西側諸国の人が多いようですが、そこはしっかりと違うものだということを認識する必要があると思います。一般のモスリムは偶像崇拝をしない非常に敬虔でまじめな市民なのです。イスラム教では自爆テロのような行動は厳しく禁じられているのです。まるで十字軍のようにモスリムを敵にし、ありもしない理由でイスラム諸国に対して戦争を仕掛けるような国こそ公に非難されるべきです。(注:モスリムとはイスラム教を信仰する人のことを指します。)

アフガンの人たちにとっては楽しい休日だったのでしょうが、我々にとっては、休み前に買い込んだ食糧が乏しくなっても買い物にもいけず、自宅で仕事に集中する不自由な日々でした。イードの前々日、前日とテロがありましたが、イード期間中は大きなテロもなく、店もすべて閉まり、静かなカブールの街でした。
今、ニュースで東北部に自爆テロがあったとの報道。イードの静けさも昨日まででした。NATOサミットでNATO軍の撤退も正式に決定され、これからの反政府勢力の動きには要注意です。

11月20日。
エアコンでは間に合わず、ストーブを使い出したカブールにて。
花里信彦

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