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JICA 輿石あけみさんのウルグアイ便り vol.3

更新日:2015年2月2日

佐久市の皆さん、こんにちは。今年の日本の冬は例年になく厳しいようですが、皆さんお元気ですか?特に佐久は寒いですから、お体大切になさってください。南米は今、夏の真っ盛り、ウルグアイの人達は、暑い、暑い夏を楽しく乗り切っています。

人生を楽しむウルグアイ人

プールで泳ぐ人人々

ウルグアイの人達は、自分の生活を大切にする。仕事優先ではなく、人間、個人優先である。
この国に来て、まず驚いたのは、役所や銀行の業務が午後行われる事であった。銀行は午後1時から6時までが営業時間である。私達が派遣されたリベラ県の県庁では、午後12時半から7時まで市民への窓口業務が行われている。同じ県庁でも、全部門がこの時間帯で働くのではなく、町の清掃や公園の管理部門などは朝7時頃から働いて午後3時には仕事を終える。町のごみ収集は夜8時から9時くらいの間に車が回ってくる。一般に7時間労働だから、午前と午後に仕事を分担しているらしい。
日本では、全てのオフィスが、9時から5時までの業務なので、役所や銀行に用事のある人は、休みを取るか、1~2時間の外出許可を貰わなければならない。それを考えると、ウルグアイの役所や銀行の時間帯は、かえって合理的かもしれない。
街なかの店は、8時半には開き、12時から15時までは、ほとんどの店が閉まる。さすがに大きなスーパーや免税店は開いているが、日曜日は、免税店も含めてほとんどの店が閉まる。たまに開いている店があっても、昼まで。終日開いているのは大手のスーパーくらいである。
クリスマス、年末年始も、全ての店が閉まる。いつもは11時まで開いているモールや大きなスーパーまでもがクリスマスイブには6時には店を閉める。市内を走るバスも午後7時頃最終となる。皆早々に仕事を切り上げて、クリスマスディナーの待つ家路を急ぐ。レストランも、ディナーを予約するような高級レストランしか開いていない。25日や元日は、長距離や市内のバス、タクシーまでもがかなりの間引き運転である。バスターミナルのレストラン、土産物屋も開いていない。知らずにこの時期に旅行して、ひどい目にあった。

今、南米は真夏である。30度を越す日が続き、日によっては37、8度になる事もある。
学校は12月の半ばから3月上旬まで夏休みである。働いている人達は、年間20日の有給休暇がある。夏の間、交代でこの休暇をまとめてとる。土日を含めると約一ヶ月の長期休暇である。12月から、クリスマスに次いで新年、2月にはカーニバル、それが過ぎるとイースターと、大きなイベントが目白押しである。それに加えて個人の長期休暇。3月まではまともに仕事ができない。それでは、この長期休暇を皆どのように過ごすのか?まず、お金のある人は、首都モンテビデオの東138kmにある、プンタ・デル・エステという南米有数のリゾート地で過ごす。短期賃貸しアパートや別荘を借りたり、ホテルに滞在したりして、ビ-チに寝そべってゆったりと過ごす。ここでは、街なかの自宅とは別に、田舎にチャクラと呼ぶ小農場か別荘のような物を持っている人が多く、そこでこの休暇を過ごす人もいる。

浜辺でくつろぐ人々

それ程お金のない人は、近くの湖や川の畔にテントを張って、泳いだり、肌を焼いたり、バーベキューをしたりして過ごす。ウルグアイの人達にとっては、とにかく、大自然の中、きれいな空気を胸いっぱいに吸って、のんびりと、まったりと休日を過ごすのが最高なのだ。自営業の人までも、1ヵ月近く店を閉めてゆっくりと休む。

河原で楽しむ人々

暑い夏の12月上旬から3月上旬まで、県庁の業務時間も朝7時から午後2時までに変わった。午後は日差しが強く、暑くて仕事にならないので、朝の涼しいうちに仕事をしてしまおうということらしい。午後2時くらいから6時くらいが一番暑い時間帯で、街には人通りが絶える。昼寝の時間なのか、車すらあまり通らない。6時頃から人が出始め、公園は夕涼みをする人達で溢れる。子供達は夕方になると設置されるトランポリンで跳ね、噴水をくぐり抜けては歓声をあげる。人々は自分用の携帯椅子とマテ茶を持って公園に集まって、まったりとマテ茶を飲みながら夜の更けるまで、子供達を見守ったり、話し込んだりしている。街のレストランは夜8時に開くが、その頃行っても、客は誰もいない。9時頃からぼちぼち客が入り始め、皆、ビールやワインを飲みながら、ゆっくりと夕食を楽しむ。週末などは12時過ぎても、公園にも、レストランにも人が溢れている。

夜の公園

私が住むアパートは、免税店が並ぶメインストリートに面している。ここを見に来た時、街の中心なのに意外と静かで、緑あふれる公園も見下ろせるし、彼方の丘に沈む夕日も美しく、すっかり気に入った。ところが、引っ越したその夜、全てがひっくり返った。昼間は静かな道路が、午後7時頃になると混み始め、夜が更けるに連れてエスカレートしていく。メインストリートは両車線とも車の洪水。大渋滞でのろのろと走る車は、ガンガンと音楽を鳴らし、その間を縫って、後ろに恋人を乗せた若者達が、オートバイのエンジンを一杯にふかして突っ走る。それが週日でも1時過ぎまで、週末など、明け方まで続くのだ。両車線ともに延々と続くあの車が行く先に何があるのか?反対方向の車は何処からやって来るのか?この地の人に聞いてみると思いもよらない答えが返ってきた。ここにはあまり娯楽がないらしい。週末、人々は自分の車やオートバイに家族や恋人をのせて、大音響で音楽を鳴らし、エンジンを思い切りふかしてドライブする事で日頃の憂さを晴らしているのだ。彼らは、目的もなしに走り、ある程度行って飽きると、もと来た道を戻ってくるという。そう聞くと、あの果てしのない車の列も納得がいく。特に夏の暑い時期は、狭い家の中より、クーラーと音響の整った車や、風を切って突っ走るオートバイが人気なのだろう。

通りの様子

こんなふうに、ウルグアイの人達は自分の人生を楽しんでいる。「わが国には地震も、津波もなく、限りなく続く緑と、川と海、そして澄み切った空気がある。それ以上に何を望むのか?パラダイスだろう?」という言葉を良く聞く。確かに、この人達のスローライフは人間の究極の幸せなのではないだろうか?

平成25年2月7日 真夏のリベラ市より

 シニアボランティア 平成24年度二次隊 渉外促進

 輿石 あけみ

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