JICA 輿石あけみさんのウルグアイ便り vol.6
更新日:2015年2月2日
輿石あけみさん (佐久市鍛冶屋出身)
佐久市の皆さん、新年おめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
ウルグアイ便りも大分ご無沙汰をしてしまいましたが、今回は、私自身の活動の紹介をしたいと思います。
巡回診療バス
私のボランティアとしての職種は、渉外促進です。技術移転を目的として派遣されるボランティアの意思疎通がスムーズに出来るよう、通訳、翻訳及び業務調整をするのが主な仕事です。他のボランティアが必要とする情報や資料の収集、翻訳、配属先との会議資料の翻訳、会議の通訳、研修資料翻訳、通訳、報告書の翻訳など多岐に渡ります。住居探し等、生活面でのお世話をするのも仕事です。通訳、翻訳の仕事は重要な仕事ですが、ボランティア活動としては表面に現れない地味な仕事です。その地味な仕事に意義を見出す努力の末、達した結論は、「渉外促進ボランティアの使命は、人と人、人と組織、組織と組織を繋ぐこと」だという事です。通訳や翻訳がうまくいって、人と人を繋ぐことが出来たと感じた時、やったー!と嬉しくなります。
10月上旬、新しいシニアボランティアの保健師さんがリベラに着任しました。リベラ県では、2007年に日本政府の無償資金援助で大型バスが導入されました。“Esperanza(希望)”と名付けられたこのバスは、長距離バスを改造して、受付、医師の診察室、歯科治療室を装備した動く診療所です。バスに乗り込むのは、医師、看護師、歯科医、歯科衛生士、受付担当者、コーディネーターと運転手です。狭いスペースを上手に利用して歯科治療用器具や携帯用心電図計等、診療に必要な物品を備えており、患者に処方する薬品も揃っています。“Esperanza”では、地域の予防医療の一環として歯磨き指導も行っています。歯科衛生士が学校で生徒達を集めては、歯の模型や図を使って歯磨き指導や虫歯の定期健診を行い、受診に来た人達に個別に歯磨き指導をしています。また、県の保険局と連携して、婦人科がん検診、エキノコックス症発見の為のエコー検査等もこの巡回診療バスで行っています。
“Esperanza”は、週3回、県内の病院や診療所のない32地域を巡回して地域医療に貢献しています。集落には、地域のラジオ放送があり、“Esperanza”の診療時間を知らせるそうです。ですから、“Esperanza”が着く頃には、遠くから、隣同士で車や馬車に乗り合わせたり、馬に乗ったり、歩いたりして診療にやってきた患者さんが既に列を成して、これらの地域での重要性が伺われます。
今回派遣された保健師さんは、以前にも2年間このバスに乗り、診療バスのサービス、運営、機能改善に努めました。今回、再度の挑戦で、更なる改善を目指しています。私も診療バスの様子や保健師さんの活動内容を知るためにバスに同乗し、各地域を回りました。この巡回中に、保健師さんから、リベラの病院や老人施設、障害者施設等の見学や、ウルグアイの社会保障制度について調査をしたいという希望がありました。これはとても興味深い課題だと思います。施設や制度についての情報や資料集め、翻訳、訪問時の通訳などが今後の活動になります。これからも、新しく着任した保健師さんと診療バスのスタッフや地域の人々、調査対象の組織を繋ぐ渉外促進ボランティアの役割を果たして行きたいと思います。
シニアボランティア 平成24年度二次隊 渉外促進
輿石 あけみ
