JICAアフガニスタン所長 花里 信彦さんからのアフガニスタン便りNo6

更新日:2015年2月2日

(NO6:2010年8月)

花里信彦さん写真

花里 信彦氏

JICAアフガニスタン所長

佐久市志賀出身

7月20日にカブール国際会合が開催されました。世界中から外務大臣が40人、閣僚級が20人と、約60カ国の代表が集まり、カルザイ大統領とバンキムン国連事務総長の共同議長の下、アフガニスタンの平和と安定について話し合いました。
一番の成果は「会議がカブールで開催され、犠牲者が一人も出なかったこと」に尽きます。2001年に暫定政権が発足後、初めての大規模国際会合のアフガニスタン国土における開催です。

開催当日も空港近くに攻撃があり、バンキムン総長の乗った飛行機は米軍基地に迂回。ヘリコプターで会場入りというハプニングもありましたが、とにかく無事終了。岡田外務大臣も日帰りでしたが参加し、日本の支援方針を発表しました。
今後の課題は、今回の決定事項をどのように遵守し、実行していくかですが、それが一番難しい課題です。全てが我々現地で働くものの責任となっていきます。

カブール国際会合直後にJICAの緒方理事長がTCF(センチュリーファンデーション)という国際シンクタンクのメンバーの一員としてアフガニスタンの現状調査にやってきました。その活動とはちょっと離れて日本人の代表としてやってもらったことがあります。桜の植樹です。

桜の苗を植える

今年は日本とアフガン友好80周年です。80周年を記念すると共に、今後のより信頼し合える友好関係の発展のために、アフガンで働く(働いた)日本人の有志で桜の苗を80本贈呈しようというものです。その1本目をカルザイ大統領と緒方理事長の共同作業(結婚式みたいですが)で大統領官邸の庭に植えていただきました(写真参照)。
残りの79本は少し涼しくなってから、新都市計画地やカブール川のほとりに植える予定です。何年か経って平和な街になり桜の花の下でアフガンの人たちと語らえる日が来ることを夢見て。

80周年を記念してもうひとつJICAが計画していること。それはアフガンと日本の架け橋になる人材の育成です。今までも、日本政府の事業として少人数の留学生を受け入れてきましたが、やはりある程度の規模にならないと大きな力は生まれません。特にアフガン復興の柱となる首都圏開発と農業・農村開発の分野でリーダーシップを発揮してもらうために5年間で500人の留学生を日本の大学院に送る予定です。多くのアフガン政府の要人は欧米で教育を受けていますが、日本が培い実践してきた近代都市の開発、農村における住民主体の開発、食糧増産等に係る研究等への期待・要望は非常に高いものがあります。
日本で学んだアフガンの人たちが、政府や民間企業で活躍し、将来のアフガンの発展を担う。夢ではなくて現実にしなければいけません。他の国でも日本に留学したり、研修した人たちは日本のよき理解者です。世界に日本のよき理解者を増やすこと、これも我々JICAの使命のひとつなのです。

佐久には農学部や工学部を備えた大学がありませんので、今回の留学生はお世話にはならないでしょう。でもJICA事業全体で見るととてもお世話になっているところがあります。それは佐久総合病院です。アフリカでの医療プロジェクトの実施や世界中からの研修員の受け入れ、佐久総合病院は国際援助の世界では「農村医療」で世界で一番といっても過言でないほど有名です。そんなところで医療を受けられる佐久の皆さんは世界で一番幸せかもしれませんね。

最近のカブール生活事情です。夏になり町にはスイカ、メロン、ぶどうとフルーツが溢れています。特にメロンの歯ごたえのよさとすっきりとした甘みにはすっかりとりこになりました。その上を行くのがぶどう。
もともとアフガンはぶどうの産地として有名で、昔はワインも作っていたそうですし、戦争前は世界の干しぶどうの輸出の大半はアフガンからだったといわれています。その干しぶどうもとても甘いのですが、生のぶどうの比ではありません。小ぶりのマスカットのようなぶどうの歯ごたえと極上の甘さと爽やかさ。今まで食べたぶどうの中で間違いなく一番です。近い将来にパッキングや輸送技術が向上したら日本の皆さんにも食べていただきたい一押しの特産品です。

一方で、以前は入手可能だったビールとワインが6月中旬から手に入らなくなりました。もともとお酒の販売は厳しく制限されている国ですが、腐りかけたワインと缶ビールだけは値段が上がりながらも流通していたのです。ワインはそのほとんどが品質不良、ウィスキーは偽アルコール飲料という状況でしたので最近はビールのみを入手していたのですが、ついにストップ。疲れて戻った家で飲む一杯の冷えたビールがなくなったら、1日の楽しみの90%がなくなったような喪失感です。なんとか、流通するようになるといいのですが。

ザクロの実

事務所の庭のりんごの実もだんだん大きくなって来ました。写真の柘榴の実も大きくなり収穫が楽しみです。柘榴は高価な作物であり、アフガンの大きな問題である芥子の代替作物としても注目を浴びてきています。柘榴の実は種が一杯で食べにくいのですが、これをジュースにすると絶品です。コレステロールにも良いのだとバルフ州のアタ知事(元軍閥)が教えてくれました。

さて、9月18日には下院議員選挙が予定されています。町には乱雑に候補者のポスターが張られ、キャンペーンが行われています。この国の選挙法では、1位の人が死んだ場合は2位の人が繰り上がり当選になるということで、選挙前後には対立候補同士の争いが激化し、殺し合いになることも多いようです。カブールではすでに候補者同士の争いと思われる爆破事件が発生しています。地方ではその何十倍、何百倍もの事件が起きるでしょう。

選挙写真

無事に選挙が終わり、10月には佐久に顔を出せれば良いなと思っています。そのときはアフガンに興味を持ってくださる市民の皆さんとお話をできる機会が持てると良いですね。

乾燥した空気が気持ち良いカブールより(本日の気温31℃)。

8月16日 花里信彦

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