平成22年佐久市議会第2回(6月)定例会招集あいさつ
更新日:2015年2月2日
平成22年佐久市議会第2回(6月)定例会
市長招集あいさつ
招集のごあいさつを申し上げます。
本日、平成22年佐久市議会第2回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には時節柄ご多忙の中ご参集いただきまして、定刻に議会が開会できましたことに厚くお礼申し上げます。
議案の総括説明を申し上げます前に、最近の政治経済情勢、並びに市政運営等について申し上げます。
まずはじめに、最近の政治情勢について申し上げます。
ご案内のとおり、去る6月2日に突然の鳩山首相の辞任表明に伴い、一昨日6月8日に菅内閣が誕生いたしました。しかしながら、退陣することになった鳩山前首相は、民主党両院議員総会で辞意を表明したのみで、辞任会見も開催することもなく、取材対応をすることもなく内閣総理大臣という最も大きな責任から退かれました。国民の大きな期待を担いながら、辞任せざるを得なかった事の経過やその事態に至った責任の所在など国民に何らの説明すら行われなかった事は、汗顔の至りであり浅薄な政治信念の表れであると言わざるを得ないと思います。
首相交代により内閣支持率が5字回復し、国民の大きな期待が新内閣に再び寄せられている事が報じられています。国民の期待は、信頼される政治の実現であり、責任を持つ政治であると思います。昨年の夏、国民はマニフェスト選挙によって政権交代を選択しました。しかしながら、国民に示されたマニフェストが現実政治の中で実践できない状況があります。普天間問題、高速道路無料化、子ども手当の完全実施、ガソリン税の暫定税率の廃止等々であります。私は、マニフェストに関わる大きな政策転換は、新たなマニフェストによって書き換えられなければならないと考えています。マニフェストとは、政権と国民との契約でありますから、変更も契約によって行われなければならず、事の成行きや行き掛かりで変更していくマニフェストでは、国民との信頼関係は築けるはずもなく、こういった行為が繰り返されることによってマニフェストというシステム自身が成立しなくなってしまう恐れがあります。その意味では、実現可能なマニフェスト作りが新政権における大きな課題であると認識いたしております。
また、県内情勢に目を転じますと県知事選挙、また同時に行われる県議会議員補欠選挙がこの夏の大きな関心事となります。村井仁知事が不出馬表明をされたことにより新知事を選ぶ選挙となります。私も県議として、市長としてご厚誼をいただきましたが、私事を廃し、公平、公正に事を運ぶ姿勢は、関係者の信頼度を深め、正鵠を射た結論を導き出していただいたと、この本会議場において改めて敬意を表したいと思います。特に佐久総合病院再構築問題では膠着した難題の方向付けを村井知事自らが陣頭指揮を取り、三者合意に漕ぎ付けていただきました。本来であれば、当事者同士の話し合いにより解決されるべき事象でもありますがお仲立ちがあり、進捗を見ることができました。長野県におきましては、新体制後においても変わらぬご支援を期待するものでありますし、これまでの地域事情も県民の選択によって示された選良に対し、正確に詳細に説明申し上げてまいりたいと考えております。
県議会議員の補欠選挙は、佐久市・北佐久郡区の他、長野市、安曇野市、下伊那郡において行われます。新知事を選択する選挙と共に行われるものの、報道によりますと参議院選挙の直後の可能性が高く投票率も気に掛かるところであります。私自身が原因者の一人でもあり、高い関心を持っていますが、新県議におきましても佐久市の発展に大きく寄与していただける人材、佐久市をよく知る人材が望まれるところであります。何れにいたしましても佐久市発展のために県とのパイプ役として連携強化を図ってまいりたいと考えております。
次に、経済状況に目を向けますと、内閣府の月例経済報告では、「景気は着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」とされております。また、民間シンクタンクの発表によりますと、長野県内の経済動向は「緩やかな持ち直しの動きが続いているが、雇用面を中心に厳しい状況が続く。」とされており、景気は回復の兆しを覗かせている半面で一様に雇用面の厳しさが強調されている状況となっております。
また、九州宮崎県で発生し、甚大な被害をもたらしている口蹄疫について、拡大の防止や地域経済への影響が懸念されるところでもあります。
心配される雇用状況につきましては、先月文部科学省・厚生労働省から発表されました大学生の就職内定率が、91.8%で「就職氷河期」と言われた平成12年と同水準となっており、過去2番目に低いものとなっております。市内の雇用情勢を見ましても、ハローワーク佐久管内の最新の有効求人倍率は、0.50倍で、ここのところ上昇傾向が続いてはおりますが、急激な景気後退が顕著になる直前の一昨年9月の1.13倍と比較しますと、未だに半分に満たない水準であり厳しい状況にあるものと判断しております。
さらに、こうした状況を反映してか、市内の生活保護の世帯数と保護人員も増加傾向にあります。平成20年度末と平成21年度末とを比較いたしますと世帯数にして327世帯から405世帯、78世帯の増加。保護人員にいたしますと389人から502人と113人の急増の状況にあります。特に雇用関係を喪失した30代、40代の世帯の増加が著しく、平成20年度末26世帯から平成21年度末においては、55世帯と前年から2倍以上増加している状況であります。なお、この傾向は国・県でも同様の状況であります。
このような厳しい経済雇用状況の中ではありますが、佐久市には明るい兆しも見えてきておりますので、2点ほどご報告を申し上げます。
まず1点目といたしまして、企業立地の関係でありますが、佐久リサーチパークにおいて、昨年操業を開始されましたホクト株式会社が、当初計画されていた「佐久第二きのこセンター」の建設予定を計画より1年早め、本年10月から着工し、来年6月の完成予定に計画を変更されたとお聞きしております。
これは、生産品目をブナシメジから、需要の拡大しているエリンギに変更し、首都圏をはじめとする全国的な需要に対応するため、計画を前倒しするとともに重点的な投資により収益力の強化を図るとのことであります。
この計画変更は佐久市にとりましても、大変喜ばしいことであり、市の経済、さらには雇用の活性化に貢献いただけるものと確信しているところであります。
2点目といたしまして、いわゆるB級グルメで地域を元気にしようとする取り組みであります。
全国的にブームとなっておりますB級グルメですが、望月地区におきましても、江戸時代から中山道望月宿周辺の主産品でありました黒豆の一種「雁喰豆」の味噌を使った「かつ丼」を新たな名物にしようとする取り組みが行われております。
駒の里望月にちなみ「駒月みそかつ丼」と名をつけまして、可能な限り地場産品を使う中で、望月宿界隈の食堂や料理店、民宿など10店舗の皆様が協力し、それぞれが独自の味付け、盛り付けをしている「かつ丼」であります。
3月27日には「駒月みそかつ丼」の試食会が開催され、新聞、テレビ等でも大きく取り上げていただきました。また、4月3日から一斉発売となったわけでありますが、市内外から多くの皆さんに訪れていただいており、発売1週間で1,000食を超える大変な好評で、現在では5,000食を超える販売となっているとお聞きしております。
市といたしましては、歴史や風土に根ざした技術、農産物など、特色ある地域資源を活用した新たな地域ブランドづくりの一環と位置づけておりますので、是非多くの皆様に「駒月みそかつ丼」をご賞味いただき、佐久の新たな名物にしていきたいと考えております。
このような明るい兆しにも目を向けつつ、より的確で効果的な経済対策を引き続き講じてまいりたいと考えております。
次に、最近の市政運営等について申し上げさせていただきます。
はじめに、主な事業の概要について8点申し上げます。
1点目といたしまして、佐久総合病院の再構築及び地域医療連携について申し上げます。
まず、臼田地区につきましては、住民の皆様との協働によるまちづくりを進めるため、(仮称)臼田まちづくり協議会の早期設立を目指し、取り組みを進めてまいりました。
これまで、臼田4地区の区長の皆様や、識見者の方々、さらに佐久総合病院の参加を得まして、調整を進めてまいりましたが、この度、協議会の目的や運営方針、組織構成などの方向づけがなされたことから、間もなく協議会を設立する見込みとなっております。
次に、中込中央区での取り組みについてでありますが、昨年12月に開催した住民の皆様への説明会で寄せられたご意見などに対する回答と、ドクターヘリの模擬飛行の実施結果について、3月27日と28日に住民説明会を開催し、説明を申し上げたところでございます。
また、住民の皆様から強くご要望いただいております、(仮称)基幹医療センター建設予定地周辺の道路改良につきましては、基本となる計画が出来上がりましたことから、今月8日に説明申し上げたところでございます。
さらに、周辺の工業者の皆様に対しましては、昨年12月の説明会に引き続き、4月27日に説明会を開催いたしております。
その際、関係する皆様から、「この地区で、病院と工場が将来にわたり共存、共栄していく為には、現在の操業環境が守られることが重要である。」とのご意見をいただきましたことから、現在、必要となる諸条件の整備などにつきまして、協議の機会を設けるとともに、必要に応じて個別に訪問をするなど、調整を図っているところでございます。
今後も、引き続き地区住民の皆様や工業関係者の皆様との調整を行い、事業実現に向けて取り組みを進めてまいります。
また、医療関係の皆様につきましては、3月30日に第3回佐久市医療体制等連絡懇話会を開催し、併せて、佐久医師会、浅間総合病院、佐久総合病院の3者での話し合いも、並行して進められております。その中で将来の佐久市の地域医療のあり方として、(仮称)基幹医療センターが「高度・専門医療、救急医療」に特化した紹介型病院である「地域医療支援病院」となり、他の病院や診療所はそれぞれの役割や特性に応じた医療提供を行うなど、地域完結型医療体制の構築に向け、連携・協力することが重要であるとの認識が共有化されつつあると考えております。
先日の佐久総合病院の病院祭におきましても、佐久医師会の坂戸政彦会長、浅間総合病院の村島隆太郎院長のお二人から、同様の趣旨でお話がされております。こういった連携は、2年前には考えられない状況でありましたが、関係者の相互の理解が深まった成果であり、佐久市の医療を巡る環境が好転した象徴でもあります。
いずれにいたしましても、佐久総合病院の再構築につきましては、関係手続きが進むよう計画的に、そして慎重に取り組んでまいりたいと考えておりますのでご理解を賜りますようお願いいたします。
また、地域完結型医療体制の構築にあたり、佐久総合病院とともに重要な役割を担うことになります、浅間総合病院の運営につきましては、ご案内のとおり本年4月1日より地方公営企業法の全部適用をし、経営改善に向けて取り組んでいるところであります。
平成22年度には、10年ぶりに診療報酬のプラス改定などが行われましたが、依然として自治体病院を取り巻く環境の厳しさに変わりはありません。浅間総合病院においては、今後も日々大きく変化する医療環境への速やかな対応と、効率的運用に向けて、病院事業管理者を中心に経営改善の取り組みや職員の意識改革を進めるとともに、勤務医の確保、他の医療機関との連携を推し進め、佐久の地域医療の発展を期してまいりたいと考えております。
2点目といたしまして、総合文化会館について申し上げます。
総合文化会館の今後の対応につきましては、4月27日の全員協議会において説明をさせていただきました。5月25日には「総合文化会館建設促進について」の要望書をいただいたところでありますが、再度、進行状況等について説明申し上げます。
本年3月末に、実施設計及び管理運営基本計画の策定が完了し、目安となる建設費や、毎年生じる管理運営経費が明らかになりました。
しかしながら、市として責任を持って事業執行ができるよう、その他の大型事業等の状況も勘案し、長期的な財政見通しの下で、今後の議論を進めていく必要があると考えたところであります。
そのため、これまで検討してまいりました経過や基本構想・基本計画、実施設計などの成果品を踏まえた上で、将来的に佐久市が健全な財政運営を維持しつつ、実現可能な施設となるよう、設計内容を再度精査・検討し、事業費の圧縮を図るとともに、管理運営経費についても見直しを行っております。
現在、職員によるプロジェクトチームを作り、鋭意、作業を進めておりますが、概ね3ヶ月程度かかる予定であります。その後、市民説明会を行い、その規模・施設内容、管理運営経費などを市民の皆様に広く情報提供をしてまいりたいと考えております。
また、これまで様々な機会や局面におきまして市民の皆様の声をお聞きしてまいりましたが、その中で総合文化会館に関する正確な情報が伝わっていない、併せて建設の是非については意見が二分されていると感じておりました。私は、行政がこれだけの巨額の費用を投じて行う事業である以上、主権者であります市民に正確な情報を提供し、確実な方法で意向を確認したいという思いから、住民投票によることが最善であると考えたところであります。その趣旨をご理解いただきますようお願いいたします。
3点目といたしまして、新ごみ焼却施設の整備について申し上げます。
まず、建設候補地の選定でございますが、本施設につきましては多くの市民の皆様に関心を持っていただきたいとの思いから、その建設候補地を広く募集することとし、本年2月1日より5月31日を募集期間とし、公募を実施させていただきました。
各地区区長の皆様をはじめ、関係の皆様方のご理解ご協力をいただき、お陰をもちまして、平根地区舟ヶ沢(ふながさわ)地籍、内山地区西和田地籍、猿久保地区仲田地籍の3件の応募がございましたことをご報告させていただきます。
区長の皆様には、応募にあたりまして、地域の取りまとめ役としてご尽力をいただくとともに、大変なご心労をおかけいたしましたことに対しまして、深甚なる感謝を申し上げる次第でございます。
応募いただきました候補地につきましては、市民の皆様の参加もいただき「建設候補地選定委員会」におきまして、本年10月頃を目途に、交通アクセスや地理的条件等の立地適正や、地元並びに周辺地域の合意形成など、幅広い角度から調査検討をいただきまして、最適地を選定してまいりたいと考えております。
また、これまでのパートナーである軽井沢町、立科町との整備の枠組みにつきましては、基本合意に向け調整項目のすり合わせを進めております。なお、新施設に対して共同での利用について申し出をいただいております御代田町及び南佐久の全町村との連携につきましては、建設候補地の地元の皆様にご理解をいただくことが大前提でございますので、応募いただいた地区の意向を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。
施設の整備計画につきましては、現在、専門のアドバイザーを交えた庁内検討組織において、プラントメーカーからの技術提案に基づき焼却方式の検討を進めている状況であります。
このように本年度は、ごみ焼却施設整備事業の基本的な枠組みを決定することとなるものであり、申し上げました課題について鋭意努力してまいりますので、議員の皆様におかれましてもご理解ご協力をお願い申し上げます。
4点目といたしまして、市民活動ネットワークの拠点、(仮称)市民活動サポートセンターを設置する取り組みについて申し上げます。
ご案内のとおり、市民活動サポートセンター設置の取り組みにつきましては、本年の2月より、市民の皆様による「研究・検討会議」ワークショップが始まっております。
先月までに4回のワークショップを開催し、初期の学習期間が終了したところであり、今月からは、佐久市に相応しい市民活動サポートセンターのあり方について、いよいよ本格的な話し合いを行っていただく段階に入ってまいりました。
また、これに先立ちまして、先月21日にはワークショップ参加者の皆様による主体的な運営組織であります運営委員会が立ち上がったところであります。
これまでも申し上げてまいりましたが、市民の皆様のご意見やアイデアに基づいて創り上げる市民活動サポートセンターを、佐久市の新たな都市機能の一つにしたいと考えております。そのためには、市民の皆様と行政が情報を共有し、互いの信頼関係を結び、役割と責任を分担して協働を進めることが重要であり、それこそが「新しい公」の形であると感じております。
また、この取り組みに関しましては、今年度より、広報広聴課に市民活動係を設置し、事業を進めております。今後、様々な分野において、市民と行政の協働のまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
5点目といたしまして、商工業の振興対策について申し上げます。
国では、改正中心市街地活性化法による商店街振興に加え、地域の実情や現在の経済情勢にあわせ、新たに昨年8月地域商店街活性化法を施行いたしました。
これに対して、早速市内でも、岩村田本町商店街振興組合が同法に基づく事業認定を受け、現在は中小商業活力向上事業の補助申請中であるなど積極的な動きが見られます。
市といたしましても、こうした動きを積極的に支援し、今後より多くの商店街がこの制度を利用してまちづくりを推進できるよう、市の単独事業として「商店街活性化選択集中事業補助制度」を新設したところであります。
また、市内の工業振興、企業の活性化を促進することを目的に、企業間連携により新製品並びに新技術の研究開発を共同で行う企業に対して、その対象経費の一部を補助する「ものづくり支援事業補助制度」を、これも市の単独事業で新設いたしました。
全国的には経済情勢は回復傾向にあるものの、市内には回復傾向に向かえない企業も存在していることを踏まえ、国・県の対応も注視しながら今後も商工業の振興対策に努めてまいる所存であります。
6点目といたしまして、公園整備について申し上げます。
平成19年度から整備を進めてまいりました田口地区の川村吾蔵記念館を併設した五稜郭公園と、平成20年度から整備を進めてまいりました野沢地区の36種類のバラを植栽した原公園が完成し、今年の3月30日に開園をいたしました。両公園とも、親子のふれあいの場として、また、世代を越えた多くの皆様の憩いと交流の場としてご利用いただきたいと考えております。
また、整備を進めております佐久総合運動公園につきましては、今年の3月末に36ホールの芝のマレットゴルフ場が完成し、現在、芝の養生を行っている状況であります。
このマレットゴルフ場の供用開始は、今年の秋を予定しておりますが、開園にあたりましては、佐久総合運動公園をより多くの皆様に知っていただき、開園後の利用促進の契機となるよう開園記念大会を開催したいと考えております。
7点目といたしまして、中部横断自動車道及び整備新幹線について申し上げます。
ご存じのように、昨年の政権交代により国の公共事業に対する姿勢が変わり、中部横断自動車道整備事業の進捗が懸念されていたところでありますが、佐久小諸ジャンクションから佐久南インターチェンジ間につきましては、平成22年度当初予算で11億5千6百万円が配分されたところであります。
また、事業を進めております長野国道事務所からは「工事は順調に進捗しており、平成23年3月までには開通させる予定。」と伺っております。
さらに、佐久南インターチェンジから(仮称)八千穂インターチェンジ間につきましても、43億8千7百万円が配分されておりますことから、平成27年度中の開通に向けて、多少明るさが見えてきたところでもあります。
しかしながら、国においては、道路建設財源の確保に向けた道路財政特別措置法改正案の審議入りの目途が立っていないなど、今後の整備に向けては未だ不透明な状況にあります。
こうした中、5月17日には佐久女性みちの会の方と共に、関係機関へ中部横断自動車道の必要性を訴え、また、国土交通省の長安(ながやす)豊(たかし)担当政務官には要望書をお渡しし、全線開通の早期実現をお願いしてまいりました。
今後も引き続き、(仮称)八千穂インターチェンジから(仮称)山梨県長坂ジャンクション間の整備計画区間への格上げに向け、沿線市町村の皆様方と連携し、要望活動を展開してまいりたいと考えております。
また、この4月23日には整備新幹線問題調整会議のヒヤリングに出席し、「佐久平駅開業による効果」について報告してまいりました。
この調整会議は、国土交通省、財務省、総務省の3省の政務官で構成され、「整備新幹線の具体的事項の検討・調整を行うため地方自治体・JR等の関係者からのヒヤリング等を実施すること。」を目的としているものであります。
佐久市では、平成9年の北陸新幹線佐久平駅開業に向け、新幹線整備による効果を最大限上げるため、駅周辺の約60ヘクタールの土地区画整理事業や駅舎の橋上化、駅の南北を繋ぐ自由通路の設置、アクセス道路の整備、また、駅周辺にパークアンドライドとして駐車場の整備を行ってきました。調整会議ではその結果どのような効果が生まれたのかについて、平成3年に撮影した佐久平駅周辺と最近の佐久平駅周辺の写真をお見せし、次の3点を説明してまいりました。
まず1点目といたしまして、周辺市町村では人口の減少が見られる中、旧市域の人口は開業時と比較し約4千人も増加しており、このことから岩村田小学校の児童数も増え続け、平成27年度には過大規模校解消のため、長野県下で21年ぶりとなる新小学校建設を計画しているところであること。
2点目といたしまして、佐久平駅の乗降客が開業時に比して1.8倍に増加し、県下で2番目となったこと、停車本数も当初の上下33本から49本に増えたこと。
3点目といたしまして、商圏人口が、平成9年度の212,259人から平成21年度には245,628人へ増加し、他地域からの流入人口の状況を示す吸引力系数が146.2パーセントから89.8ポイント増加し、236.0パーセントとなり、長野県下19市中トップであること、であります。
以上ヒヤリング時に説明いたしました効果でありますが、ご案内のように、北陸新幹線は平成26年には金沢まで延伸される計画であります。その時に、今の停車本数を維持し、地域の利便性を確保し利用客の増加を図ることが、今後の佐久市にとりまして大きな課題であると考えております。
現在表れております整備効果を維持した上で、さらに佐久地域の自然特性であります晴天率の高さや、平成25年度に開業予定である佐久総合病院(仮称)基幹医療センターの広域的な活用など地域の特性を最大限に生かし、関東圏だけでなく北陸圏をも視野に入れた交流人口の創出戦略を練っていくことが喫緊の課題であると考えております。
8点目といたしまして、市道の整備状況について申し上げます。
都市計画道路「原東1号線」と「跡部臼田線」の2路線の工事が完了し、3月30日に開通いたしました。
さらに、東西幹線の第一期工区として、平成17年度から整備を進めておりました金井地区の観音堂(かんのんどう)橋(ばし)から上谷田(かみやだ)までの工事が完成し、4月8日に開通式を行ったところであります。
今後は、第2期工区として観音堂(かんのんどう)橋(ばし)前の交差点から、県道湯沢望月線の春日小学校入口交差点までの2車線道路を、平成22年度から平成27年度までの計画で整備を予定しております。
次に、最近の市政の動きについて、7点ご報告を申し上げます。
1点目といたしまして、本年度新たな取り組みとして実施いたしました佐久市施策報告会「東京モーニング」についてご報告申し上げます。
これは、首都圏在住の市人会等の会員の皆様を始め佐久市にゆかりのある方に呼び掛けをいたしまして、市の主な施策を報告させていただき、「外から見た視点」でふるさと佐久の発展に向けたご意見などをいただくことを目的として、4月20日に都内のホテルで開催したものであります。
当日は、朝7時30分からの開催に、地元長野県区選出の参議院議員、羽田雄一郎議員、吉田博美議員のお二方をはじめ、77名の佐久市にゆかりのある皆様にご参加いただくことができました。
市からは、13項目の施策について説明申し上げたところでありますが、佐久に想いを寄せる皆様から、様々なご質問や多岐にわたる貴重なご意見やご提言をいただくことができたところであります。
いただきましたご意見やご提言は、よく吟味をいたしまして、今後、市政発展、市民の皆様の生活、福祉の向上に向けて、施策の策定、予算編成などの視点として活かしてまいりたいと考えております。
2点目といたしまして、財産区と企業の「森林(もり)の里親契約」について申し上げます。
これは、県事業であります「森林(もり)の里親契約」を大沢財産区とソネットエンタテインメント株式会社との間で、昨年11月に締結いたしたものであります。今回、4月17日にその「ソネットの森」契約記念式典を開催いたしました。
ソネットエンタテインメント株式会社は、ソニーグループ傘下のインターネットサービスプロバイダー事業及びポータル事業を展開している会社であり、その会員数は383万人、業界では上位に位置する事業者であります。
記念式典当日は、記録的に遅い降雪に見舞われたわけでございますが、吉田憲一郎(けんいちろう)代表取締役社長をはじめとするソネット社員の皆さん、大沢財産区議会議員、大沢みどりの少年団等、約120名のご参加をいただくことができました。
今後、大沢財産区では、ソネットとの契約に基づきまして、平成21年度から5年間、森林整備や森林体験などをとおしてソネットの皆さんと交流を図っていくことになります。
3点目といたしまして、交流人口の創出、及び定住人口の増加に向けた取り組みについてご報告申し上げます。
本年4月、地域経済活性化に向けた交流人口の創出と定住人口の増加を図ることを目的として、これまで分散していた交流事業窓口の一元化を図り、経済部に「交流推進課」を新設し、より積極的な取り組みを始めたところであります。
まず4月22日には、臼田宇宙空間観測所で国際宇宙ステーションに滞在中の野口宇宙飛行士と日本宇宙少年団佐久分団の子ども達とが宇宙交信を行いました。この、交信イベントは宇宙航空研究開発機構(JAXA:ジャクサ)の施設がある縁で友好都市交流をしている「銀河連邦」の事業として開催したものであります。
5月1日から5日まで、友好都市でありますモンゴル国ウランバートル市スフバートル区より区長はじめ5名の方々の、佐久市公式訪問の受け入れを行いました。今回の訪問では、昨年度から実施しております子ども交流の継続的実施の確認と、今年度佐久市の中学生をモンゴル国研修に派遣させるにあたり協力依頼を行ったところであります。
さらに、スフバートル区より看護師の交流事業の実現と、農業研修生の派遣事業の提案があり、関係機関への協力要請など実現に向け検討を重ねていくことを話し合い、確認をしたところであります。今後、幅広い分野において国境を越えた友好的な交流が深められていくことと思っております。
また、5月12日・13日には、日本とフランス両国で姉妹都市などの関係がある44の自治体の代表者が一堂に会し、両国の自治体が直面する課題などについて議論する「第2回日仏自治体交流会議」が金沢市で開催されました。
会議は文化、経済、環境、社会の4テーマの分科会に分かれ、私は少子高齢化をテーマにした社会分科会の座長を務めましたが、自由な発言で進められる大変有意義な会議でありました。第3回会議は2012年(平成24年)の秋、フランス・シャルトル市で開催される予定となっておりますが、今後、情報収集をする中で目的を明確にして臨みたいと思っております。
また、定住人口の増加に向けた市の事業の柱であります佐久市空き家バンク「おいでなんし!佐久」の取り組みが、3月23日にテレビ番組「ガイアの夜明け」で全国放送されました。放送当日の空き家バンクホームページへのアクセス件数は、730件と通常を10倍も上回り、以降、電話での問い合わせや利用希望登録が増加している状況であります。
4点目といたしまして、アダプトシステム事業についてご報告申し上げます。
アダプトシステム事業は、市民の皆様に歩道や公園などの植栽の手入れや育成、清掃などの活動を行っていただき、協働してまちづくりや環境美化に取り組んでいく事業で、佐久市としては初の試みとなる事業でございます。
今年度より、本年3月に竣工いたしました都市計画道路「原東1号線」と「跡部臼田線」及び野沢の「原公園」について、関係する皆様にご協力いただけることとなり、アダプトシステムの協定を締結いたしました。
今後、市民の皆様と行政による協働のまちづくりの必要性が増す中で、アダプトシステム事業は大変有効な事業であり、多くの市民の皆様に参加いただきたいと考えております。
5点目といたしまして、中央図書館、近代美術館、子ども未来館の3館合同イベントの開催についてご報告申し上げます。
昨年度公募いたしました中央図書館、近代美術館、子ども未来館の3館長の企画による「七夕企画「星の物語」のさし絵作家になろう」と題したイベントを、5月22日に開催いたしました。当日は親子28組80名の参加をいただくことができ、大盛況でありました。
また、このイベントの中で制作された作品の展覧会「星の物語」さし絵展は、5月29日から7月19日まで各館にて順次展示していきます。
今後は、この3館合同でのイベント開催の経験と実績を活かし、市内文化施設の相互の連携を図り、市民の皆様に親しんでいただける事業を展開してまいりたいと考えております。
6点目といたしまして、財団法人佐久市文化事業団の民間館長の登用についてご報告申し上げます。
佐久市文化事業団では、より多くの良質な舞台芸術の提供や多彩な自主文化事業を展開し、市民の皆様の地域文化・芸術に対する意識高揚を図っていくため、立川流一門の落語家で上田市出身の、立川談慶さんにお力添えをいただきたいと考え、お願いをいたしましたところ、ご快諾いただけたことから、4月19日付けでコスモホール館長に就任していただいたところであります。
立川談慶館長には佐久市文化事業団が行う各種事業において、指導・助言及びアイデアをいただく予定でありましたが、早速、ワンコイン寄席の実施、7月16日の立川流落語会の開催企画と手腕を発揮していただいているところです。
今後は、佐久市内の各種文化施設との連携をさらに推し進め、落語に留まらない企画、運営を行う中で市民の皆様はもとより市外、県外から訪れる方との交流が深まり、交流人口の創出につながっていくことを期待しているところであります。
7点目といたしまして、佐久市の新しい観光資源の発掘、観光戦略の立案をテーマとした企業広報専門学校の校外授業実施の受け入れについてご報告申し上げます。
これは、都内にある企業広報に関する専門学校エファップ・ジャポンの申し入れを受け、現在市でも内部的に検討を進めております新しい観光資源の発掘、観光戦略の立案をテーマとして実施するものであります。
同校は、平成19年度に社団法人 信州・長野県観光協会の旅行パッケージに関するイメージ広報戦略をテーマとして、今回と同様の授業を実施しております。また、県観光協会では、その際生徒が立案した広報戦略を基に、旅行パッケージの広報内容を具体化したとも伺っておりますことから、今回の校外授業の成果として提出を受けますレポートについては、「外から見た視点」での佐久市の観光戦略プランはどのようなものになるのかという点で期待しているところであります。
授業スケジュールについては、5月31日に同校のフランス人留学生6名を含む27名の同校生徒が佐久市を訪れ、私からの市の状況などに関する講義と、市内各所の視察を行ったところであります。現在、生徒がそれぞれ、佐久市の観光戦略に関するレポートを作成しており、今月末にはレポートの提出を受け、私がレポートの総評を行うこととなっております。
今後も、交流人口の創出に向け、このような「外から見た視点」を取り込めるチャンスを生かしてまいりたいと考えております。
次に、今後の主な事業について、5点申し上げます。
1点目といたしまして、「佐久市版 事業仕分け」の実施について申し上げます。
佐久市で実施する事業仕分けは、私が常に申し上げております、「徹底した情報公開による市民参加型市政の実現」を目指すものでもございまして、単に事務事業を廃止・縮減することだけを目的にするのではありません。
公開の場で議論することにより、税金の使い道を市民の皆様に明らかにし、行政の目的を達成するための手段として、その使い道が正しいものなのかを市民の皆様にきちんと説明できるかどうかが重要でございます。
そして、出された判定結果につきましては、市としての最終的な方向性を市民の皆様にお示しし、説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
事業仕分けは、10月16日と17日の2日間実施する予定でおります。
対象事業は、36事業程度を考えており、法令により実施義務があるなど市の裁量の余地の無い事務事業や、実施段階の建設事業、市の運営等に係る基礎的事務事業などを除く全ての事務事業の中から選定いたします。最終的な選定は有識者、民間団体代表者等の皆様で構成する佐久市行政改革推進委員会で決定していただくよう考えております。
また、事業の要否などの判定は、市民の皆様から「市民判定人」として事前に50名程度を募集し、事業仕分けの当日、市の担当者と「仕分け人」と呼ばれる外部の有識者の議論をお聞きいただいて、「市民判定人」と「仕分け人」の多数決により判定結果とする方法を予定しております。
「市民判定人」の人数に限りはありますが、市民に見える「佐久市版 事業仕分け」にしていきたいと考え、現在準備を進めているところであります。
2点目といたしまして、世界最高健康都市構想策定の取組み状況についてご報告申し上げます。
私は、公約の大きな柱の一つに「世界最高健康都市の構築」を掲げさせていただきましたが、世界最高健康都市の実現のためには、あらゆる分野の連携した取り組み、全ての市民、団体や企業などの参加が不可欠であると考えております。
このため、佐久市の目指す世界最高健康都市の姿を明らかにし、より実効性の高い事業の立案と、各種事業の体系的な実施に向けて、今年度「世界最高健康都市構想」を策定することとしております。
構想の策定にあたりましては、専門的な立場からご意見を伺うため、佐久市世界最高健康都市懇話会を設けることとしており、公共健康医学やスポーツ科学教育など、各分野で高度な専門知識をお持ちの方にそれぞれ委員の就任をお願いしているところであります。また、理念や目的など、構想の根幹をなす骨格部については、現在内部での検討を始めているところであります。
今後、速やかに懇話会を立ち上げ、ご意見をいただきながら、「世界最高健康都市構想」をまとめてまいりたいと考えております。
3点目といたしまして、岩村田地区北部への新小学校の早期建設への取り組みについて申し上げます。
ご存じのとおり、岩村田地区北部への新小学校の建設計画策定におきましては、「学校づくりは、地域づくり」という考えから、市民の皆様とのパートナーシップにより研究・検討を行い、地域の方々の期待や願いを学校づくりに反映させていくため、ワークショップ方式を導入することといたしました。
このワークショップへの参加市民を公募いたしましたところ、53名の市民の皆様からお申し込みをいただき、早速、先月15日にオリエンテーションを開催し、具体的な取り組みがスタートしたところであります。
今後の予定でございますが、このワークショップでの成果、及び専門家・有識者による建設地域協議会の提言を踏まえ、年明けには基本計画を策定してまいりたいと考えております。
4点目といたしまして、スポーツの大会及び合宿の招致に向けた取り組みについて申し上げます。
市では、市民の皆様の健康増進、体育活動の振興はもとより、スポーツの各種大会や合宿の招致など交流人口の創出を図り、地域経済の活性化に寄与することを目的に、体育施設の充実を計画的に進めております。
今年度は、現在計画が進んでおります臼田総合運動公園のテニスコートや宿泊棟の改修と合わせまして、以前からの懸案でありました弓道場の設置を臼田地区に計画しております。
さらに、市民の皆様からの体育関係施設の利用確認及び申込みにつきましては、これまでの体育施設での窓口対応のほか、インターネットによる予約及び予約状況が確認できる新たなシステムを導入してまいります。
また、新市発足5周年記念事業の一環として、8月10日に中学生・高校生を対象とした佐久市ジュニアゴルフ大会をabn長野朝日放送に主催に加わっていただき、新たに開催いたします。これを契機にゴルフの魅力を若い世代に広げるとともに、市内ゴルフ場の利用促進につなげてまいりたいとも考えております。
なお、大会の模様は8月下旬に番組化されabn長野朝日放送から放映されることになっております。
このほか、高等学校、大学などのスポーツ合宿の受け入れ、特に強豪校と言われるチームなどを積極的に招致し、併せて各種大会等の招致を図り、交流人口の創出に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
5点目といたしまして、市政への市民参加について申し上げます。
市政へ市民の皆様に参加いただくため、各種委員会等の委員のうち市民公募枠を設けております。
3月に、環境の保全及び廃棄物の抑制及び処理に関すること等の調査及び研究を目的とした佐久市民環境会議委員に4名、4月には新ごみ焼却建設候補地に応募された建設候補地について、交通のアクセス、地形、ライフラインの確保等立地適正や地元合意形成の熟度など幅広い角度から調査検討していただく、佐久市新ごみ焼却建設候補地選定委員会委員に2名、及び市の行政改革の推進に関する重要事項について、調整審議をしていただく、佐久市行政改革推進委員会委員に3名を公募したところであります。
委員となられました市民の皆様には、それぞれのお立場から市政発展に向けた建設的なご意見がいただけることを期待しているところであります。
今後も、10月に計画しております「佐久市版 事業仕分け」の「仕分け人」をはじめ各分野において、市民の皆様が市政に参加していただける機会を積極的に設けてまいりたいと考えております。
以上、主な事業の概要、及び市政に関する報告等について申し述べさせていただきました。