更新日:2025年9月1日
9月は、中国陶磁器《豆青蝦蟇水滴》を紹介します。
「月替わりコレクション紹介」について
豆青蝦蟇水滴
制作者:不明
制作年:清時代(18世紀)
材質・技法:磁器
寸法:高さ3.8センチメートル*長さ6.5センチメートル
青豆のようなフォルムにユーモラスな顔。中国清時代に制作された蝦蟇の形をした水滴です。
豆青は青味のある白磁のことをいい、青白磁と同じですが、中国の清時代に制作された陶磁器では特別に豆青の文字を使うそうです。青白磁は青みを帯びた白磁の一種で、白磁は、本来、白い釉薬がかかった器ではなく、白い素地に透明の釉薬がかかった磁器をいいます。その釉薬に微量の鉄分が含まれると焼成後に淡く青みがかり青白磁になります。素地が純白のため、透き通るように淡い青色に発色する磁肌は爽やかで瑞々しく、本作にもその特徴がよく表れています。素地に溝をつけるとそこに釉がたまって青味が増しますが、本作では体躯に二重丸の溝をいくつもつけて蝦蟇の文様を作っています。
中国では古くから3本足のカエルは富や繁栄を象徴する縁起のいい生き物とされてきました。水滴である本作も机の上で持ち主の招福に役立っていたのかもしれません。
高さ3.8センチメートル、長さ6.5センチメートルの手のひらに収まる小ささですが、その形は軽妙洒脱で手慣れた職人の技巧が窺えます。どの窯で制作されたかは不明ですが、眺めていると思わず微笑んでしまう親しみを感じさせる1点です。
毎週月曜日(休日の場合は開館)
展示替え期間(不定期)
年末年始期間(12月29日~1月3日)
ほか臨時休館することがあります。
午前9時30分~午後5時