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イベントレポート(野沢北高校美術班 対話型鑑賞会)

更新日:2026年8月20日

野沢北高校美術班のみなさんが対話型鑑賞会を行いました!

 令和8年8月10日(月曜日)に、野沢北高校美術班のみなさんが対話型鑑賞会を行いました。

 この鑑賞会は、野沢北高校美術班へ佐久市立近代美術館のPRで当館の館長が訪問した時に、2年生の副部長さんから「対話型鑑賞に興味があるので、夏休み中に、美術館で鑑賞してみたい」「探求の時間のテーマとして、自分の絵の見方が、お互いの意見を聞きあうことでどう変化するか、コミュニケーションに興味がある」という相談がありました。美術班顧問の先生からも「企画から自分で考えてみるといい勉強になるよ」というアドバイスがあり、当館との事前打ち合わせを経て実現しました。当日は、美術班10人と顧問の先生1人が参加し、企画展「浅間山をトレース― 島州一展」(会期:令和8年7月18日~8月30日)の出品作品を中心に常設作品など併せて合計6点の作品を鑑賞しました。当館からは館長と学芸員1人が参加しました。

挿画1
1点目はみんなで鑑賞します。

 まず、ウォーミングアップに1階ロビーにある常設作品、分部順治《慈愛》を全員で鑑賞しました。母と子の羊を表現したこの彫刻に「羊というと柔らかく、優しいイメージだと思うと、ブロンズの固い銅像で表していることが疑問に思う。ふわふわした優しさだけでなく(お母さんが)困って、疲れてるようにも見える」という意見が。「親子の羊のそれぞれの視線が別をむいていて目を合わしていない」という意見に、顧問の先生が「優しさだけでなく、厳格さもあることが目線の向きで感じられるんだね。高校生の時期は親と喧嘩したり自分と向き合ったりいろいろな感情が混ざるからかな」と話すと、「目線が合わないということは何か早く親ばなれして欲しいと思っている」「お母さん羊よりも子羊の方に目が行く」「子羊の顔は人間っぽいと思う。誰に似せたのかなぁ」などなど、意見が飛び出します。生徒たちは立ったりしゃがんだりしていろいろな角度から作品を眺めていました。
 
 その後は二つのグループに分かれて鑑賞しました。ファシリテーターは副部長さんと顧問の先生です。


「プリンみたい」「山の上にスプーンが乗ってる」「黄色いのは煙?」「(島州一展の中で)この絵が一番好きかも」


「黒いのは椅子かな?椅子が部屋の奥にあって、シャツは手前にあるんだと思う」「十字の形は祈りを表している?」「十字が祈りだとすると、少しはみ出てる所もあるけど、シャツの中にしか描かれていないから、この人の中に祈りがいっぱいあるみたい」「普通シャツには厚みがあるけど、この絵には厚みがなくて不思議な感じ」「鏡をみながらネクタイをしめているみたいなポーズ。私たちがいる側が現実で、絵は鏡の中みたい」「背景が白いので現実じゃない世界みたいだね」

「服の中の柄を描いているのがすごい。私たちは、外身を重視している所がある。この絵は内側が魅力的と伝えてくれる。内側を描いてくれて服が喜びそう」「下の絵は柄が魅力的。上の方は外、袖とか素敵。どっちも素敵だから二つの絵にしたのかな」「そう言われてみると、2枚があってこそ2枚が引き立っている」「(服の中の柄を見て)ここはアンモナイト、ゆずりは、化石…」「描かれている紙は何かな?シャツの写真だと始めは思っていたので、(絵画だと知って)『えっ?』と思った、本物を見るに限る」


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平山郁夫《仏教伝来》も鑑賞しました


「この色合いが好き。オレンジ、線、地面、この絵のトータルバランスがめっちゃ好きです」「足元の犬、奥の方に鳥が倒れてる」という意見には「本当だ!」の声が沸き起こります。「犬、鳥、馬がいてバランスよく動物たちも配色されているね」「私ならもっとはっきり描くけど、遠くから見たときの印象みたいにぼやかしていて距離を感じる」「奥の人が鳥をつかんでいる。あの鳥だけ目がはっきりしている。あの鳥の周りを目立たせたいからかな。それが案内役、道しるべの役目をしている」「白い馬は下を向いている。伝来の旅にためらいがあるのかな?伝えるお経を一つ忘れたとか?」「仏教について描いているのに仏画っぽくない。そこが私は好きかも」


 鑑賞後、全体で話題になったのはこの作品。

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島州一《ASAMA-W 174》2006年


 抽象的で一見何が描かれているかわかりませんが、話しているうちに、画面左上のオレンジ色とグレーのしましまが「鮭の切り身みたい」という意見が登場します。そこから「(手前に)リンゴがある」「スプーンの形がある、お腹がすいていないときに見ると見え方が違う」「朝の食卓みたい。椅子やランチョンマット、いんげん豆?さやえんどうに似てる」「画面全体は賑やかな感じがする。みんなでこう見えると楽しくなった。具がいい味をだしてこれから焼くところなのかな?空気感が煙がでているように見える」という展開に。


 もう一方のグループでも同じ所が「鮭にみえる」という話で盛り上がりました。また、「紙を張り付けてる所と絵の具で描いている所がある。上半分は絵の具で描いていてぼやけてる」「ぼやけた所は窓の外で雨が降ってる。手前が家の中」という意見に一同「あ!」という驚きから、「(中央右にある)三角は車みたい」「家の中にはソファーがある」「ここに人が座っているんじゃない?」といった話にもひろがりました。


 最後は全員で輪になって感想会を行いました。企画した副部長さんは「初めてで緊張したけど、いい話が出て安心した。よかった。」とほっとした様子でした。みなさんからも、「美術館はあまり得意ではなかったけど、今日は楽しかった。みんなとなら何度でも美術館に来てみたいと思えた」「『作品の感想は正解を言わないといけない』と思っていたけれど、途中で『対話をすればいいんだ』と気づいた」「話しながら見たことで一人で見たときに気づかないことが観れた」「美術館は『こうでなくてはいけない』という正しい見方がある気がしていた。でも、みんなの話を聞いて『どう考えてもいいんだ』と思えて楽しかった」「一人で来ると疑問のままだけど、みんなで話しているうちに、この展示のバックボーンを知れたらよかったと思えるようになった」「一人で自分の解釈でみるのも好き。みんなと話すといろんな解釈があって面白い」「友人が自分の中で対話しながら観ている時、自分はうまくできなかった。言葉に出してみるのは初めての体験だった。一人の時も言葉にしたら気づきがあると思った」といった意見が出されました。「また、次もやりたい」という嬉しい意見も。

 

 対話型鑑賞を学びながら今回の企画を立ち上げた副部長さん、ご協力いただいた顧問の先生、そして部員のみなさん、お疲れさまでした!そして、ありがとうございました。みなさんのお話が新鮮で美術館職員もとても楽しかったです。美術館が、一緒に来た友達、仲間、ギャラリーとの交流でお互いの発見や喜びを共有、共感できる場になったらとても嬉しく思います。当館では、年間4~5回展覧会を開催していますので、ぜひ、また、みなさんで楽しんでいただけたら嬉しいです。

本文ここまで

佐久市立近代美術館 油井一二記念館

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