おうちで社会科見学!!-北西ノ久保遺跡「埴輪」-
更新日:2020年6月1日
文化財事務所では、ご自宅のパソコン等で佐久市にある文化財を見ていただくツールとして、「おうちで社会科見学!!」のページを開設しました。第6弾からは佐久市内の遺跡から発見された文化財を紹介しています。第6弾の八風山遺跡から発見された「石槍」に続き、第7弾は北西ノ久保遺跡から発見された「埴輪」です。どうぞお楽しみください!!
北西ノ久保遺跡「埴輪」
佐久大学の下には遺跡がありました
北西ノ久保遺跡は、佐久市岩村田にある遺跡です。この遺跡では信州短期大学(現在の佐久大学)の建設に伴い、昭和57年度(1982年度)と昭和60年度(1985年度)の2回にわたり発掘調査が実施されました。
この遺跡からは多くの古墳が発見され、このうち6世紀代の円墳である17号墳から埴輪が発見されました。埴輪とは、古墳に並べられた土製の置物で、いろいろな形のものがあります。この古墳の本体は耕作などによりなくなってしまい、その周りの溝(周湟)だけが残っており、今回紹介する埴輪は、この周囲の溝の内側から発見されました。おそらくもともとは古墳本体に並べられていた埴輪が崩れ落ちて埋まってしまったものと考えられます。
発見された埴輪の種類は円筒・朝顔型埴輪、家・盾・靱・馬・鹿・太刀などの形象埴輪、鏡を腰に提げた女性像、帽子をかぶる像、男性像などの人物埴輪などがあります。
今回紹介する埴輪は、このうち馬型埴輪の3頭で、馬具で飾られている「飾り馬」2頭と、馬具で飾られていない「裸馬」1頭です。古墳からは破片で発見され、破片が見つからず抜けている部分もありますが、見事に復元されています。それでは、馬型埴輪を見てみましょう!!
飾り馬1
飾り馬2
裸馬
この3頭の馬型埴輪は、脚や胴、鬣の造りは同じですが、飾り馬は馬具の部分に違いがあります。一番特徴的な箇所は胸についている鈴(馬鈴)か鐘(馬鐸)かの違いです。そのほか、手綱を口に引っ掛ける道具である轡、人が乗る部分である鞍とそこに付けられる金具、馬に乗る人の足を入れる壺鐙、尻金具としての雲珠という飾りは共通しています。そして、馬具の帯の縁が赤く塗られていることも特徴的です。
裸馬は背中にかけて手綱と思われる赤い線が表現されているので、頭部の破片が見つかっていませんが、おそらく轡を装着していたと考えられます。またお腹に乳房の表現があるため、雌の馬であると想定されています。
この馬型埴輪はほぼ全体の様子がわかる例として、長野県内でも貴重な存在となっています。その貴重さが評価されて、この馬型埴輪を含む北西ノ久保遺跡の埴輪は昭和62年(1987)に佐久市有形文化財に指定されました。
北西ノ久保遺跡から発見された「埴輪」の「おうちで社会科見学!!」を楽しんでいただけましたか?
次回、第8回は「東一本柳古墳」から発見された「馬具」を取り上げる予定です!!
北西ノ久保遺跡から発見された埴輪の展示について
北西ノ久保遺跡から発見された埴輪の一部は、文化振興課(文化財事務所)の考古遺物展示室に展示してあります。
詳細は考古遺物展示室のページをご覧ください。
お問い合わせ先
佐久市教育委員会文化振興課文化財事務所
住所:長野県佐久市中込2913番地
電話:0267-63-5321
お問い合わせ
社会教育部 文化振興課
電話:文化振興・文化施設係:0267-62-5535 文化財保護・文化財調査係:0267-63-5321
ファックス:文化振興・文化施設係:0267-64-6132 文化財保護・文化財調査係:0267-63-5322