更新日:2025年4月1日
4月は、片岡 球子《富士に舞う 陵王と還城楽》を紹介します。
「月替わりコレクション紹介」について
《富士に舞う 陵王と還城楽》
制作者:片岡 球子
生没年:1905年生
制作年:2008年
材質・技法:紙本彩色
寸法:高さ80.0×幅116.5cm
片岡球子は北海道生まれの日本画家です。大正15年(1926)に女子美術専門学校を卒業し、横浜市の小学校で30年間勤務しました。その傍ら、画家として活動し、戦後すぐに安田靫彦に師事しました。昭和50年(1975)に日本芸術院賞恩賜賞を受賞し、昭和57年(1982)に日本芸術院会員、昭和61年(1986)に文化功労者となり、平成元年(1989)に文化勲章を受章しました。
片岡の絵の特徴は、強烈な色彩にあります。北海道での生活で、光の反射により雪が様々な色彩を放つ様を目にしていたことで、多くの色彩が片岡の中に蓄積されたといいます。本作品もまた、鮮やかな色彩が目を惹きます。
本作品は、舞楽をテーマとした作品で、富士山を背景に、陵王(戦勝を祝う舞または雨乞いの舞)と還城(悦びの舞または帰還を祝う舞)という異なる演目の2人の登場人物が描かれています。画面右は、竜頭の面に赤系の装束を身に着け、右手には金色の桴を持ち左手は剣印を結んでいることから「陵王」、画面左は、朱の仮面を着け、左手には作り物の蛇を持っていることから「還城楽」だとわかります。
本作品のモデルとなったのは宮内庁式部職楽部の辻 寿男氏です。舞の所作に漲る躍動感と装飾的に描かれている背景とが相まって、幻想的な世界を作り出しています。
本作品は、画面右側の人物の腰部分に裂け、他にも人物の部分に多数の亀裂と一部に浮き上がりがあったため、令和5年度に実施したふるさと納税型クラウドファンディング「佐久市立近代美術館収蔵作品保存修復プロジェクト」にて修復しました。
現在開催中のコレクション展「ふしぎ」な美術にて、修復後初披露しています。
毎週月曜日(休日の場合は開館)
展示替え期間(不定期)
年末年始期間(12月29日~1月3日)
ほか臨時休館することがあります。
午前9時30分~午後5時