このページの先頭です
このページの本文へ移動

おうちで社会科見学!!-八風山遺跡群「石槍」-

更新日:2020年6月1日

 文化財事務所では、ご自宅のパソコン等で佐久市にある文化財を見ていただくツールとして、「おうちで社会科見学!!」のページを開設し、これまでに5回にわたって文化財を紹介してきました。今回の第6弾からは佐久市内の遺跡から発見された文化財を紹介していきます。第6弾は八風山(はっぷうさん)遺跡群から発見された「石槍(いしやり)」です。どうぞお楽しみください!!

八風山(はっぷうさん)遺跡群「石槍(いしやり)

 「石槍」とは、()(棒のこと)の先につけて動物を突くもので、狩りをするための道具です。現在のようにお米を食べて暮らすようになってからまだ3000年もたっていないと言われており、旧石器時代や縄文時代の人々は動物を捕って食べる狩人(かりうど)でした。そのため、今から13000年くらい前の旧石器時代から縄文時代に移る頃は、石を割って石器を作り、狩りの道具を作っていました。
 そこで今回紹介する八風山遺跡群の登場です!!「八風山遺跡群」って何だろう?と思っているかもしれませんが、実は佐久市で石槍が大量に製作された遺跡の名前です。石槍をはじめとする地中から発見されたものが、どこから発見されたのかわからないと、それが本物なのか、それとも偽物なのかわかりません。つまり、発見されたものが貴重な文化財として評価されるためには、どこから発見されたかが重要になってくるため、遺跡には名前が付けられます。遺跡名には、一般的に地名(字名(あざめい))が付けられます。たとえば、「佐久市役所」の住所は正式には「佐久市中込字大塚3056番地」であり、佐久市役所のある場所の遺跡は地名(字名)をとって「大塚遺跡群」と名付けられています。
 それでは話を八風山遺跡群に戻しましょう。この石槍が大量に発見された場所の地名は「佐久市香坂(こうさか)鳥谷前(とりやまえ)」「佐久市香坂字大笹(おおざさ)」とされており、本来ならば「鳥谷前遺跡群」や「大笹遺跡群」と名付けられるのが一般的です。
 それでは、なぜ八風山遺跡群と名付けられたのでしょうか??実は、この場所で発見された石槍の材料となった石の種類が関係しており、その石の種類を「八風山ガラス質黒色安山岩(こくしょくあんざんがん)」と言います。この石が多く見られることから、この場所が「八風山ガラス質黒色安山岩原産地遺跡群」となり、その略称として「八風山遺跡群」となって広く知られています。みなさんは高速道路の長野・群馬県境の「八風山トンネル」を知っていますか??この遺跡はその八風山トンネルの北側にあります。

八風山遺跡群の全景写真です。
八風山遺跡群全景写真(赤丸:遺跡群の範囲)

 それでは、実際に石槍を見てみましょう!!

 写真1の石槍の大きさは、長さ20.6センチメートル、幅6.2センチメートル、厚さ1.7センチメートルで、八風山遺跡群で発見された石槍の中で一番大きなものです。また、写真2の石槍の大きさは、長さ17.2センチメートル、幅7.6センチメートル、厚さ2.6センチメートルで、写真1の石槍とは異なり、幅が広く厚手です。両方の石槍とも製作途中に、写真の矢印の箇所から折れてしまい、写真1の石槍は完成間近で折れたのに対して、写真2の石槍は右下部分に原石の表面が残っているので、表面を削り取り終わる前の製作の前半段階で折れてしまったと言われています。
 

 次に面白い写真を見てみましょう!!

石器の接合状況の写真です。

 この写真は八風山遺跡群から発見された石槍の原石を復元したものです。
 八風山遺跡群の石槍は、南側を流れる香坂川で拾った原石を打ち欠いて製作し、完成した石槍はいろいろな場所に運ばれました。そして、その石槍を製作した時に出たかけらも多く見つかっています。上の写真はそのかけらを集めて復元したもので、隙間が空いている部分は完成した石槍として、どこかの地域に運び出されたのかもしれません。
 この八風山遺跡群では佐久市教育委員会が平成5年(1993)から平成7年(1995)にかけて調査を実施しました。また、これに先立って、昭和63年(1988)には長野県埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)センターが高速道路の建設に際して八風山トンネルの長野県側出入口周辺を「下茂内(しももうち)遺跡」として調査しました。この調査では、石槍の材料のガラス質黒色安山岩の原石が目の前を流れる香坂川にゴロゴロと転がっており、それを使って石器を製作していたことがわかったことにより、とても注目されました。


 八風山遺跡群から発見された「石槍」の「おうちで社会科見学!!」を楽しんでいただけましたか?
 次回、第7回は「北西(きたにし)久保(くぼ)遺跡」から発見された「埴輪(はにわ)」を取り上げる予定です!!

八風山遺跡群から発見された石器の展示について

 八風山遺跡群から発見された石器の一部は、文化振興課(文化財事務所)の考古遺物展示室に展示してあります。

 詳細は考古遺物展示室のページをご覧ください。

お問い合わせ先

佐久市教育委員会文化振興課文化財事務所
住所:長野県佐久市中込2913番地
電話:0267-63-5321

お問い合わせ

社会教育部 文化振興課
電話:文化振興・文化施設係:0267-62-5535  文化財保護・文化財調査係:0267-63-5321
ファックス:文化振興・文化施設係:0267-64-6132  文化財保護・文化財調査係:0267-63-5322

お問い合わせはこちらから

本文ここまで

ページの先頭へ