おうちで社会科見学!!-旧中込学校校舎-
更新日:2020年6月1日
文化財事務所では、ご自宅のパソコン等で佐久市にある文化財を見ていただくツールとして、「おうちで社会科見学!!」のページを開設しました。第1弾は「旧中込学校校舎」です。どうぞお楽しみください!!
重要文化財「旧中込学校校舎」
旧中込学校は、明治8年(1875)に建築されました。現在、日本に残っている擬洋風学校(日本人が洋風の建物を見本にして建てた学校)の中で、最も古いものの一つに数えられています。その貴重さが評価されて、昭和44年(1969)に重要文化財に指定されました。また校舎が建っている場所が明治8年から変わっていないことから、国史跡にも指定されています。
旧中込学校が現在の場所に建てられる前は、近くにある小林寺の敷地に「成知学校」と呼ばれる学校がありました。成知学校は、明治6年(1873)年9月に地元の下中込村と、隣の今井村と三河田村の3つの村が協力して建てた学校です。ところが、このまま小林寺の敷地を借りたままでは良くないということで、明治7年10月に校舎新築が決定し、明治8年12月に校舎が完成し、授業が始まりました。そして明治9年から「中込学校」と呼ばれるようになりました。
遠くからみた旧中込学校
近くから校舎を見上げました
校舎を正面から見上げました
さて、この校舎を建てた時にどのくらいのお金がかかったのでしょうか?
実は当時のお金で約6098円をかけて建てられました。現在ではそれほど高くないお金かもしれませんが、明治時代ではとても高額なお金でした。このお金をどのようにして集めたのかというと、下中込村の各家から集めたり、他の村の家から寄付をいただいたりして集めました。
それでは、なぜこの場所に擬洋風の学校が建てられたのでしょうか?
設計と建築の依頼を受けたのは地元出身の市川代治郎という人でした。代治郎は、明治2年(1869)から4年間にわたりアメリカで西洋建築を学び、日本に帰ってきた時に、ちょうど地元で学校建築の動きがありました。地元の人はせっかくだから学んできたことを活かしてほしいということで、代治郎に設計・建築を依頼し、代治郎は仲間の大工と協力して工事にとりかかり、わずか8ヶ月というスピード工事で、この校舎を完成させました。
次に建物の特徴を見てみましょう!!
旧中込学校の建物は、日本人が洋風の建物を見本にして建てた学校なので、和風建築の特徴と洋風建築の特徴があります。
まず、洋風建築の特徴を見てみましょう!!
旧中込学校の洋風建築の特徴は、(1)洋風の石造の柱を木材でつくっている、(2)正面から見て縦長の間取りである、(3)ガラスを使用している、の3点です。
洋風建築は主に石造ですが、和風建築は木造です。旧中込学校の正面の柱やバルコニーの手すりなどは、見た目を洋風の石造のようにするために、本来の和風建築の材料である木材を使用し、上から白いペンキを塗っています。
また和風建築の間取りは正面から見て横長ですが、洋風建築の間取りは正面から見て縦長です。西洋の教会をイメージしてもらえると、入り口から奥に広がっていて、わかりやすいと思います。
そして、今でこそ珍しいものではなくなりましたが、明治時代ではガラスは貴重で、色付きのステンドグラスはさらに貴重でした。
洋風の柱を木材で作り、ペンキを塗って石造に見せてます
バルコニーの柱も洋風に作られています
1階廊下奥に当時では珍しいステンドグラスが見えます(ステンドグラスはレプリカです)
2階廊下の丸窓にもステンドグラスがはめられています
八角塔(太鼓楼)を見上げました
次に和風建築の特徴を見ていきましょう!!
和風建築の特徴は、(1)瓦を使用している、(2)八角塔がある、の2点です。
まず、瓦は和風建築の代表的なもので、古くは飛鳥時代の王宮にも使用されています。
また、八角塔はその名のとおり「八角形の塔」で、楼閣建物として同じく飛鳥時代からあります。瓦も八角塔もさらにさかのぼると、中国建築とも言えるでしょう。
八角塔は、太鼓楼とも呼ばれています。なぜ、そのように呼ばれているかというと、中に太鼓がつるされているからです。この太鼓は学校のチャイムとして使われていたようです。また、まだ周りの家々に時計がなかった時代は、この太鼓を叩いて周りの家々に時間を知らせていたと伝えられています。
そして、天井には、この旧中込学校を中心にして、東西南北のどの方向に、どのような都市や山があるのかが書かれています。一番内側は佐久地域の地名、その外側に長野県を囲む山々、そしてその外側には長野県外の都市名、一番外側にははるか遠くの外国の地名が書かれています。今でこそ、簡単に海外に行ける時代となり、テレビなどで海外の様子がすぐにわかりますが、昔はそのようなものがないため、この旧中込学校で勉強していた子供たちは、授業で習った都市や山の名前を、この方位図を見ながら、まだ見ぬ世界を想像していたのではないでしょうか。
太鼓と方位図を見上げました(令和2年9月26日公開予定)
遠く西の彼方にはエベレスト、ローマ、パリがあります
最後に、旧中込学校の中をぐるっと見学してみましょう!!
1階の講堂にはオルガンがあります
1階の第一教場には昔の机が並びます
石筆(せきひつ)で石板(せきばん)に文字を書きました
昔の机には仕掛けがあります
机の板を上げて、物を入れていました
2階の校長室です
2階の教員控室(職員室)です
昔の理科の教科書です
昔の音楽の教科書です
旧中込学校につきましては、詳細ページをご覧ください。
「旧中込学校校舎」の「おうちで社会科見学!!」を楽しんでいただけましたか?
第2弾は国史跡「龍岡城跡」を予定しています。
お問い合わせ先
佐久市教育委員会文化振興課文化財事務所
住所:長野県佐久市中込2913番地
電話:0267-63-5321
お問い合わせ
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電話:文化振興・文化施設係:0267-62-5535 文化財保護・文化財調査係:0267-63-5321
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