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第9回 平賀源内と佐久

更新日:2021年3月7日

平賀源内と佐久

 コロナウィルス禍で館利用にご不便をおかけしています。そのような中、市民の施設ですので館収蔵資料から『難しい話を簡単に、簡単なお話を面白おかしく』して、お伝えするように心がけてきました。
 ところで、面白おかしくといえば、戯作者の大家に平賀源内がいます。今回は戯作者、科学者、事業家としてマルチ多才な足跡を残した平賀源内と佐久のお話です。

 平賀玄信と平賀源内
  平賀氏といえば、佐久では山崎哲人先生の著書、郷土出版社刊『平賀玄信の佐久支配』の平賀玄信が有名です。
 でも、今回は全国的に知られている平賀源内(1728~79)です。実は源内は通称で、名は国倫、字は子彝、号は鳩契、そして筆名は風来山人、福内鬼外、源通魏、金龍先生など、実に様々に用いています。
 そもそも平賀源内の名字は、信州片倉村出身で、伊達政宗の生涯三大危機をすべて解決した片倉小十郎の開いた城下町、宮城県白石市に由来する白石でした。
 しかし源内は祖先が信州佐久、渋沢栄一『内山峡詩』のある疣水の隣村、平賀出身なので平賀を名乗るようにしたということです。
 余談ですが片倉といえば、市川五郎兵衛は片倉山に第8回で紹介した、用水の長大な隧道開発に大変な苦心のうちに成功しています。 
 推測にすぎませんが、第8回で取り上げた吉沢好謙が書き残したように、佐久平の人々は大変な時代を乗り越えてきましたから、祖先たちはが方々に移住しててもおかしくはありませんでしょう。

平賀源内と佐久の偉人 吉沢好謙をつなぐもの

  上に掲げた写真は、京都大学付属図書館の蔵書『富士川文庫』に収められている江戸時代の中頃、宝暦10年(1760)に信陽の源通魏が記した『龍骨弁』という本草学に関する著書です。
 龍骨とは中国から伝わった医薬品のことで、当時の人々は龍骨を実際の龍の骨と信じて疑いませんでした。ところが「龍骨弁」の著者源通魏は、世の人々は竜骨、竜骨と言って珍重し、有難がるが、そもそも龍は不死、死なないものであるし、実際、誰も龍の姿などを見たものはいないのだから、果たして何の骨だか分かったものではない。と断じています。
 この『龍骨弁』冒頭に、筆者名が信陽の源通魏とあります。信陽といえば信濃国、そして源通魏ですが、奇妙に一致する署名が前回ご紹介した佐久の生んだ偉人、吉沢好謙著『信濃地名考』にあります。

『信濃地名考』の不思議な巻頭言

 上に掲げた写真は、吉沢好謙苦心の大作『信濃地名考』です。今を去ること安永2年(1773)江戸の版元『須原屋市兵衛』から出版されています。この須原屋は『信濃地名考』の出版された翌年、安永3年(1774)に前野良沢と杉田玄白による『解体新書』を、平賀源内の弟子の挿絵で出版もしています。
 また、巻頭言を揮毫したのは東江源鱗とありますか、東江源鱗とは江戸中期の高名な書家、そして洒落本作者の沢田東江です。吉沢好謙の交友範囲の広さが分かります。
 信濃地名考はその後、明治16年には岩村田の信陽印刷会社の活版本、次は明治25年、東京池村松陽堂、昭和44年に歴史図書社から信濃史料叢書に収められて出版がされるなど、吉沢好謙の苦心の成果、信州全域の地名の考証から名勝、旧跡、物産に至るまで、当時のあらゆる古書を紐解き、また現地への見聞から著述された労作ならではです。

 あらためて『信濃地名考』
  源通魏と源鱗について、安永2年本では読みにくいので、昭和44年に復刻された信濃地名考の巻頭『題信濃地名考』です。
 今さらながら、信州佐久の祖先の教養と知識には脱帽せざるをえません。
 浅学菲才の誹りを気にせず口語訳というか、意訳すれば、「吾輩は信州を素晴らしいと思う。それは中国三国志の英傑の舞台『蜀の国』に似たる土地だからだ。山脈は高く険しく、流れは大地を洗い流すように激しいが、そこに住む人々は、英才が河原の石のようにゴロゴロしている。そのようなことから昔から信州には豪傑がたくさん出おる・・・・」と源通魏先生が信州をべた褒めしてくださっています。
 渋沢栄一は、現在は群馬県下仁田からジャージー牛の乳製品が美味しい神津牧場を経て、佐久市の内山高原荒船山荘、そして香坂峠、春から秋は格好のハイキングコースを、冬の夕暮れ峠越えを急ぎ、雪中遭難しそうになりました。渋沢栄が一路目指した先は吉沢好謙が様々な文化遺産を残した信州岩村田でした。
 信州佐久は渋沢栄一に限らず、俳聖の松尾芭蕉、その昔は西行法師、近くは種田山頭火がわざわざ回り道までしてお訪れる、今も昔も詩情豊かな高原の街です。

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