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第26回 浅間山大噴火記録絵図を残した先人

更新日:2022年8月19日

日本は災害大国、宿命の天災を忘れないため

大規模災害からの復興の記録を後世に
 物理学者寺田寅彦の言葉「災害は忘れたころにやって来る」が知られています。彼は生前予言めいた言葉も残しています。それは「文明が進歩すればするほど、災害は防げるのではなく、その度合いが増す」です。『天災と国防』1934年(岩波文庫)
 寺田寅彦が危惧したように、近年では東日本大震災の大津波や、日本列島各地で局地的豪雨被害の多発など、大規模災害が頻繁に発生しています。私たちはこのような大規模災害が過去に発生していないように捉えがちです。しかし、長い歴史の中で、祖先たちはたびたび遭遇していました。
 過去の大規模災害の記録に、当館寄託丸山憲一家古文書の『天明三年浅間山噴火記録』があります。この記録は、1783年(天明3年)に経験した1000年に一度といわれる浅間山巨大噴火と、地域の甚大な被害の状況、そして災害による困難に負けない、当時の人々の復興への営みが克明に記されています。 
 当時の丸山家当主良忠は、俳号を「時々菴柯則」といい、俳人ならではの観察眼、表現力、独創的識見を活かして、極めて詳細に記録しました。彼は、近世信濃地誌の名著『千曲の真砂』の著者瀬下敬忠や、『信濃地名考』『信陽雑志』の著者吉沢鶏山と生涯俳諧を通じて深い親交があり、人々が助け合って地域を再建した見聞録と、国内では他に例のない詳細な絵図をそれぞれ3作品に仕上げ、貴重な歴史的資料として後世の私たちに残しています。
 今年は天明3年浅間山大噴火から240年、また善光寺御開帳の年でもありました。あまり知られていませんが、善光寺御開帳は、天明3年浅間山大噴火に際し、上野国鎌原村(群馬県嬬恋村鎌原)へ被災者救済のためいち早く駆け付け、被災者3,000人に白米や銭貨を施した善光寺別当大勧進80世管主(住職)等順が、天明5年(1785年)善光寺本堂で執り行った浅間山大噴火三回忌ご回向がその始まりと言われています。
 祖先たちは助け合いの心をいつも忘れず生きてきました。

丸山家の伝えた浅間山噴火絵図とは

まくり絵図とは
 日本のアニメは世界の中心ですが、その発端を丸山家の絵図に見ることができます。(図版は原画を守るため五郎兵衛記念館の複製を撮影しています。)


※上記説明画は、いずれも五郎兵衛記念館寄託の『中山道塩名田宿本陣問屋丸山家古文書目録』G41に収録の歴史的資料です。
 

本陣当主が記し残した浅間山大噴火と当時の凶作の克明な記録
 口絵写真は中山道塩名田宿本陣・問屋職を務めていた丸山柯則が書き残した『天明三ヨリ四歳迄記録』(天明6年10月)と『信濃国浅間嶽之記』(天明3年5月)です。
 柯則は瀬下敬忠、吉沢鶏山と並ぶ、当時信濃を代表する俳人でありながら塩名田宿本陣当主、そして佐久平130ヵ村で組織している中山道千曲川往還橋組合の橋元という重職にありました。立場上から民情把握のため、天明3年浅間山大噴火と、翌年から天明6年に至る大飢饉について、実に大量の情報を収集していました。
 その彼を頼り、小諸藩役職からも様々な問い合わせがあったため、丸山柯則は後世のため災害の記録を残すこととし、本文中にできるだけ多く聞き知ったことを書き残すと記述があります。
 そのことから『天明三ヨリ四歳迄記録』では、浅間山大噴火のあった天明3年(1783年)から天明6年まで4年間の天候、地域の民情、作物の作柄、米穀相場、そして佐久平を蹂躙した上信一揆の騒乱、また、天明の大飢饉下の庶民の暮らしぶりなどを克明に描写しています。
 また『信濃国浅間嶽之記』では、有史以来の浅間山噴火の記録から書き起こし、天明3年浅間山大噴火の様子、本陣当主として周辺宿場から聞き集めた被害の実態等が克明に記録されています。『浅間山天明噴火資料集成(4)』では、丸山柯則の写本から採録のため原本からの誤記がみられるのは残念なことです。
 この浅間山の大噴火、天明の飢饉の丸山柯則による貴重な記録『天明三ヨリ四歳迄記録』と『信濃国浅間嶽之記』は『水と村の歴史』第19号(信州農村開発史研究所・2004.3)に松沢弘子さんから全文翻刻が報告されています。
(根澤茂)

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