台風接近に伴う農業技術対策について

更新日:2026年6月2日

台風接近に伴う農業技術対策について

1 共 通

(1)河川や用水の増水により冠水しやすい場所から、機械類等を移動する。
(2)可能な範囲でほ場の周囲等に、明きょ等の排水対策を講じる。
(3)突風に備えて、果樹や野菜・花き類の支柱、施設・温室の外周り他、傷んだ箇所や負荷がかかりやすい箇所から優先して点検、補強する。
(4)農薬散布を行う場合は、最新の使用基準を遵守する。
(5)気象台等による最新情報に留意し、危険を伴うほ場見回り、作業等は極力避ける。

2 水 稲

(1)事前に排水路の詰まり等の点検・補修を行い、冠浸水時の速やかな排水に備える。
(2)冠水した場合は速やかな排水に努めるとともに、排水後は黄化萎縮病、いもち病、白葉枯病の発生に注意する。

3 麦 類

(1)収穫適期となっているほ場については速やかに収穫する。
(2)事前にほ場の排水対策を実施し、降雨後早期に収穫できるようにする。
(3)風雨により倒伏した場合は、成熟進度を考慮して、必要に応じて刈り分けを実施する。

4 果樹

【共通】
(1)水が停滞しやすい園ではあらかじめ明きょ等の排水溝を整備しておく。
(2)水害による樹体への影響は、樹勢によっても異なるので、適正な樹勢の維持を心がける。
(3)長時間の滞水は根や葉の呼吸を阻害し、生育不良や枯死を招くので速やかに対策を実施する。
(4)滞水している園地では、明きょなどにより速やかな排水に努める。
(5)土砂が流入した園では、根の呼吸を助けるため、なるべく早く樹冠下の土砂を取り除く。

【立木果樹(りんご、もも、おうとう等)】
(1)強風が予想される場合は、樹の倒伏・折損を防ぐために、防風ネットの点検、支柱の追加、主枝の固定等を行う。腐らん病や虫害発生箇所等の障害部は折れやすいので、しっかり固定する。また、3~6年生程度の若木は倒伏しやすいので、主幹部に支柱を添えたり、トレリスの固定を確認するなど、防止策を徹底する。
(2)特に苗木は倒伏しやすいので、支柱にしっかり固定する。
(3)雨よけ施設では、風の状況によりビニールの巻き上げを行い、施設の倒壊を防ぐ。
(4)防鳥ネット、防雹ネット等の設置園では、風の状況によりネットの巻き取りや除去を行う。
(5)おうとう等の果実については、JAや集出荷業者等と十分協議の上、収穫可能な品質に達している果実を収穫する。なお、収穫に当たっては農薬使用基準(収穫前日数)を遵守するとともに、未熟果を収穫しないようにする。
(6)定期防除をしていない場合は台風が接近する前に実施する。特に、ももの穿孔細菌病は強風と降雨により感染が拡大するので、必ず予防的に散布をしておく。

【棚果樹(なし、ぶとう等)】
(1)強風が予想される場合には、棚の周囲に防風ネット等を張り、風による落果や枝の損傷を防ぐ。
(2)棚の上下動に伴う枝の損傷や果実落果を防ぐために、アンカーの補強、棚線の締め直し、ゆるんだ誘引部の補強等を行う。特にAマストの棚は、強風により棚全体が上下動しやすいため、アンカーの補強を徹底する。
(3)ぶどうでは、こまめに新梢誘引・棚付けを行い花穂の損傷を防ぐとともに、枝が風で振られないようにする。
(4)雨よけ施設では、風の状況によりビニールの巻き上げを行い、施設の倒壊を防ぐ。
(5)防鳥ネットや防雹ネット設置園では、風の状況によりネットの巻き取りや除去を行う。

5 野菜、花き(露地栽培)

(1)露地のきゅうり、アスパラガス、ながいも、花き類(きく、りんどう、ゆり等)などは支柱の補強やフラワーネットの補修を行い、強風による倒伏と茎葉等の損傷を防ぐ。
(2)長期滞水による根傷みから、生育不良や病害の発生が懸念されるので、滞水しやすいほ場では畑の周囲へ排水溝を設置して早期排水に努める。
(3)強風や雨により病害発生の恐れがあるので、降雨後、速やかに殺菌剤の散布を行う。
(4)きく、りんどう、ゆり、グラジオラス等が倒伏した場合は、早めに株を起こし、フラワーネットを張り直し、茎の曲がりを防ぐ。

6 畜産

(1)畜舎周辺を十分に点検し、雨水の流入、浸水等がないように周囲に排水溝を設ける   とともに配合飼料・乾草等は濡れて変敗しないような安全な場所に移動する。
(2)停電に備え、搾乳機やバルククーラーの電源確保のための自家発電機の点検を行うとともに、発電機の入手については、JA等関係団体と連携をとり対応する。
(3)パイプハウスの畜舎及び堆肥施設は強風による被害を受けやすいので、隙間風が吹き込まないように破損部の修理を行う他、支柱・筋交い等の補強を行う。また、フィルム(ビニール)が飛ばされないよう、緩みやマイカー線の点検を行う。

7 菌茸

(1)停電により栽培室(培養室、生育室)と外気温の差が大きい場合は、短時間であればドアの開閉を控える。
(2)停電が長時間に渡る場合は、施設内の温度上昇に留意して適宜、換気を行う。
(3)施設が浸水した場合は次によること。
・電気設備は、起動前に十分な点検を行い、漏電事故が発生しないよう注意する。
・収穫できるものは、早めに収穫、包装する。
・生育中の水のかかった生産物は速やかに施設外へ搬出し、処分する。
・室内の浄化を図るため、施設を空にして水で泥等を洗浄する。
(4)洗浄後は、除菌剤(0.1~0.05%次亜塩素酸ナトリウム)を床や壁に散布し、乾燥させる。オゾンガス発生装置がある場合は、オゾン処理方法に従って除菌する。
(5)次亜塩素酸ナトリウム散布直後の生育室へのビンの搬入は、発生不良となる場合があるので、十分換気してから搬入する。

8 園芸・農業用施設全般

(1)強風に備えて、ハウスや畜舎及び堆肥施設等の破損部の修理、支柱・筋交い等の補強を行う。
特に、被覆フィルムが飛ばされないよう、らせん杭やマイカー線、フィルム止め具の点検を行う。収穫物がある施設では、周囲に排水溝を設け増水による湛水害を防ぐ。
(2)原則として、サイドフィルムのあるパイプハウスでは、サイドフィルムを下ろし、妻部分もフィルムで覆って、すきま風が入らないようにする。ただし、日中気温の高い状態ではハウス内の作物を優先させて開放とする。台風通過後は、速やかにハウス内の換気を図る。
(3)収穫を終えて使用していないハウスは、被覆資材(フィルムやネット等)を取り外して風圧による倒壊を防ぐ。
(4)強風により倒壊が心配される場合は、最終手段として被覆フィルムを切り裂き、風圧を軽減する手段も検討する。ただし、強風の中の作業は大変危険なので、安全性に十分配慮して作業を行う。

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