更新日:2026年6月28日
農具の前でおしゃべりに興じる少女たちを描いた《庭前小景》(1931年)は、大正から昭和にかけて活動した日本画家・森田沙伊(1898-1993)による作品です。沙伊は「よそいきでない、自然のままの姿を描きたかった」と語り、生涯を通じて子どもや犬、小鳥、花といった身近で素朴な題材を描きました。佐久市出身の洋画家・桜井 寛(1931-2025)は、戦中から終戦直後にかけて少年期を過ごした欠乏感から、《二つのフライパン》(2009年)といった目玉焼きのシリーズを描きました。桜井にとって目玉焼きは生きることの意味そのものだったのかもしれません。佐久市出身の実業家・油井一二(1909-1992)は、株式会社美術年鑑社を設立する前に風呂敷画商として日常を彩る美術品を扱っていました。掛け軸を風呂敷でかついで各地をまわり、「美によって生活に潤いをもたらす感性や心の余裕、美しいものを愛する気持ち」の大切さを伝えました。油井が蒐集した作品群は佐久市へ寄贈され、現在、佐久市立近代美術館コレクションの根幹となっています。
本展では、佐久市立近代美術館コレクションからこれら「暮らし」に関連した作品約100点を紹介します。何気ない日々に目をむけた作家たちの作品の数々をご覧ください。
2026年5月30日(土曜日)から6月28日(日曜日)まで
6月1日(月曜日)、8日(月曜日)、15日(月曜日)、22日(月曜日)
午前9時30分から午後5時まで
佐久市立近代美術館 油井一二記念館
※20名以上の団体は( )内の金額適用
作品を見て感じたことを、一緒におしゃべりしませんか?
申し込みが必要です。
18歳未満・高校生以下は観覧無料です。
6月6日(土曜日)「こどもの会」
まず、第2展示室にある8点1組の立体作品、小清水漸さんの《Richardの食卓》(1998年)を鑑賞しました。60センチメートルくらいの木のお皿に、赤、青、みどり、茶色の不思議な形のかたまりがのっています。近くから見たり、見上げたり、離れてみたりと8つの立体作品の間を行ったり来たり。茶色の四角い形は「ようかん!」、串切りのような形が並んでいるのは「まとめたら丸くなるね」など思い思いの意見が飛び出します。次に、肥沼守さんの作品です。今回は、第3展示室に《通り抜ける人》(1998年)、2階ロビーに《航海譚ーファントム・ペイン氏の旅ー》(2001年)の2点を展示していますが、順番に見ていくと「同じ白い犬がいるよ!」などの発見があり、参加者から驚きの声が上がりました。他にも、顔から足が生えていたり、胸にぽっかり穴のあいている少し不思議な人たちが歩いている様子を見て、「失ったものを探して旅をしているんだ」という意見も。全部で8点の作品を見ながら、お互いに思ったことを話していると、思いがけない発見があり、作品の見え方がどんどん変わっていく体験がとても楽しかったです。

森田沙伊《庭前小景》(1931年)では「ツバメが低く飛んでいるから、もうすぐ雨が降るかも!」という意見も。
6月20日(土曜日)「こどもの会」
小学1年生の男の子とおばあさまが参加してくれました。佐久市では、子育て支援の一環として世界中の小学1年生を対象に、市内にある体験学習施設や文化施設、観光交流施設等を年間を通して無料で利用できる「オールマイティパス」を交付しています。この男の子はオールマイティパスで市内のいろいろな施設に行っていて、美術館にも来てくれたそうです。初めて入る美術館に好奇心いっぱい。キラキラした目が印象的でした。今回は鑑賞する作品を決めないで、おばあさま、担当職員と3人で展覧会全体をゆっくりまわりながらおしゃべりをしました。彼にとって初めての美術館は、どんな体験になったのでしょうか?これからも気軽に遊びにきてくれたらいいなと思います。

佐久市出身の洋画家・桜井寛さんの作品《二つのフライパン》(2009年)を観ているところです。
作品を見て感じたことを、一緒におしゃべりしませんか?
申し込みが必要です。
6月20日(土曜日)「大人の会」
今回の参加者は5人。6月6日の「こどもの会」と同様に、まず、第2展示室にある小清水漸さんの《Richardの食卓》(1998年)を鑑賞します。「もの派」を代表する彫刻家として活動する小清水さんの作品は、約60センチメートルの木製の皿8点を一組とした立体作品で、そこにはさまざまな要素が盛り込まれています。参加者のみなさんもそれを察知して、それぞれの着眼点から話が進んできました。素材の違いに興味をもった方は、木製の皿の中に磁器の皿がはめ込まれている謎を解こうとします。色に着目し、8つの皿が赤、青、緑、茶色の4色で対になっていることを指摘する方もいれば、物質性に関心を持ち、模様が施された皿と木片が盛られた皿を見比べて「平面」から「立体」への変容を指摘する方もいました。ほかにも、題名の「Richard」とは何か?と考える方などなど。一つの作品を多角的に分析していく様子は大人の対話ならではです。
その後、第3展示室と第4展示室をまわり、合計4点の作品を鑑賞しました。進行役の職員を含めた6人で話をしていると、パッと意見が出てくる方、黙って聞いていながらふとしたところで独創的な発言をする方、自由に想像の羽を広げる方もいて、その反応もさまざまでした。そうした中で作品と結び付けて話を聞いていると、どの発言にも面白さがあり、どこか、長い人生を歩いてきたからこそにじむ実感のようなものも感じられて、「こどもの会」とはまた違う味わい深い時間になりました。
落ち着いた雰囲気でそれぞれの意見を交換します。
布用顔料でスタンプや筆を使い、暮らしの中で使える布をつくります。【定員に達しました】
ハンドタオル、エプロン等をご持参の上、汚れてもいい服装でお越しください。
申し込みが必要です。


好きな模様を描いてみよう!
染色家の
豊田陽子(外部サイト)さんを講師に迎えワークショップを開催しました。
豊田さんがお手製のハンコをたくさん用意してくれました!
サンプルに持ってきてくれた豊田さんの作品です。

豊田さんの丁寧な説明の後、みなさん思い思いの模様を描いていきます。
筆で大胆に描く方もいれば、
ハンコでペタペタとデザインしていく方もいました。
最後にドライヤーで乾かして完成です。
コレクション展「暮らしとともに」に併せて開催したこのワークショップでは、「暮らし」に近いところで、ものをつくる楽しさを感じたり、日常の中にあるささやかな喜びを見つけられるような体験になったらいいなと思い、佐久市在住の染色家である豊田さんに講師を依頼しました。豊田さんの染色作品は、野に咲く草花や光、風などが優しい色彩で描かれていて、どこか懐かしく、暮らしの中にあったらきっと毎日が楽しくなるだろうな、というものばかり(豊田さんの作品については
こちらへ(外部サイト))。その作品さながらに、参加者のみなさんにとても丁寧にハンカチづくりを教えてくれました。
参加されたみなさんも、布に模様を描くのが初めての方もいて始めは慣れない様子でしたが、しだいに真剣に、そして楽しく工夫を重ねていき、個性豊かなハンカチが出来上がりました。子どもから大人まで参加できたので、親子で参加された方も多くいらっしゃいました。今回作ったハンカチが、みなさんの日常に息づいていってくれたらいいなと思っています。
本ワークショップではたくさんのお申込みをいただき、早々に定員に達したため、残念ながらご参加いただけなかった方もいました。佐久市立近代美術館では、これからもいろいろなワークショップを予定していますので、ぜひ、ワークショップ情報をチェックしていただけたらと思います。みなさんのご参加をお待ちしています。
最後に、参加されたみなさんの世界で一つだけのハンカチをご覧ください!
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毎週月曜日(休日の場合は開館)
展示替え期間(不定期)
年末年始期間(12月29日~1月3日)
ほか臨時休館することがあります。
午前9時30分~午後5時